交通事故の慰謝料

2021.07.29更新

会社員だと違いはある?交通事故の慰謝料と損害賠償請求のポイント

会社員が交通事故にあったとき、慰謝料にどのくらい影響がある?

交通事故の慰謝料は年齢や職業・収入によって、変動することはありません

ただし、交通事故の損害賠償は慰謝料だけではありません。

ケガの治療により休業を余儀なくされた場合に生じる休業損害や、後遺障害に認定された場合に生じる逸失利益は、収入に応じた金額の請求が可能です。

しかし、会社員として働いているときに交通事故の被害者となってしまうと、ケガの治療のために仕事を休まなければならないケースもあります。

この記事では、職業や収入による慰謝料を含めた損害賠償について、詳しく解説していきます。

会社員でも交通事故の慰謝料に違いはない!算定基準と慰謝料額

交通事故の被害に伴う慰謝料の請求は、職業や収入によって金額が変わるわけではありません。

なぜなら、交通事故の慰謝料は事故による精神的なダメージに対する補償といった意味合いだからです。

そのため被害の大きさ(通院期間・通院回数など)によって、慰謝料額は違ってきます

ただ、誰が慰謝料を計算するかで、金額は異なるので注意しておきましょう。

それぞれの基準ごとに慰謝料を比較すると、以下のようになります(むちうちなど他覚症状がない場合の入通院慰謝料で比較)。

通院期間 自賠責保険基準 任意保険基準 弁護士基準(裁判基準)
1ヶ月 8.4万円 12.6万円 19~28万円
3ヶ月 12.6万円 37.8万円 53~73万円
6ヶ月 50.4万円 64.2万円 89~116万円

※ひと月の通院回数は10回として算出
※任意保険基準は推定
※弁護士基準は日弁連「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準2020年版」参照

会社員の場合では休業損害や逸失利益で金額に差が出る

交通事故の損害賠償において、慰謝料は職業や収入によって変わりません。

しかし、「休業損害」「休業補償」「逸失利益」は、現在の収入によって計算されるので、職業や年齢によって請求できる金額にも違いがあります。

それぞれの具体的な計算方法と年収別での事例、さらに後遺障害について見ていきましょう。

休業損害と計算方法

事故のケガによって仕事を休んだために減った収入を補てんするものが、休業損害です。

自賠責保険での休業損害は、職業によって金額の違いはなく、計算式は次の通りです。

休業損害=1日あたり5,700円(2020年4月1日以降の事故では6,100円)×休業日数(仕事を休んだ日数)

一方で、休業損害は事故前に得ていた収入をもとに計算する方法もあります。

休業損害=1日あたりの基礎収入額(事故前3ヶ月の給与合計額)÷90日×休業日数(仕事を休んだ日数)

この場合では、基礎収入額によって休業損害として受け取れる金額にも違いが生じます。

特に会社員であれば、1日あたりの基礎収入が5,700円を超えているのがほとんどでしょう。

したがって事故前に得ていた収入をもとに計算するのが、一般的になっています。

休業“補償”と計算方法

一方で、休業損害とよく似た言葉に休業補償があります。

仕事を休んだ減収分を補償するのが休業損害に対し、休業補償とは労災保険にもとづく給付であり、業務中や通勤中に交通事故にあった場合に受け取れるものです。

労災保険における休業損害の計算式は、次のようになります。

休業損補償=給付基礎日額の60%×休業日数

さらに、休業補償とは別に休業特別支給金も加算して受け取ることが可能です。

休業特別支給金=給付基礎日額の20%×休業日数

給付基礎日額は、事故にあう前の3ヶ月間の給与を平均して計算します。

休業損害と休業補償について、受け取れる金額を年収ごとに比較すると、以下のようになります(30日間休業した場合のケース)。

   
年収 休業損害 休業特別支給金 合計額
300万円のケース (給付基礎日額5,000円) 13.5万円 2.7万円 16.2万円
500万円のケース (給付基礎日額8,333円) 22.5万円 5万円27.5万円
700万円のケース (給付基礎日額11,666円) 31.5万円 6.3万円37.8万円

休業損害は自主的に仕事を休むだけでは認められないため、医師の判断を仰ぐことが大切です。

仕事を休まざるを得ないことを診断書に盛り込んでもらい、勤務先に休業損害を受けたい旨を伝えましょう。

逸失利益と計算方法

逸失利益とは、交通事故にあわなければ将来得られるはずだった収入に対する補償です。

損害賠償として請求するためには、後遺障害認定を受ける必要があります。

逸失利益の計算式は、次の通りです。

逸失利益=基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間のライプニッツ係数

基礎収入額は年収をベースとして考えるものであり、会社員の場合には賞与を含んだ事故前年の年収が計算の基礎となります。

労働能力喪失率は後遺障害の等級別に決まっており、事故によって仕事の能力がどの程度失われたかを示す割合のことです。

そして、労働能力喪失期間とは、基本的に症状固定(治療を続けても症状の改善が見られない状態)から67歳までを基準としています。

年収別に逸失利益として請求できる金額を計算すると、以下のようになります(症状固定時の年齢40歳・労働能力喪失率14%(後遺障害第12級)・ライプニッツ係数14.643で算出)。

年収 逸失利益
300万円のケース 615万円
500万円のケース 1,025万円
700万円のケース 1,435万円

示談交渉でトラブルや手間を避けるなら弁護士への依頼も方法の1つ

交通事故における損害賠償請求は、最終的には示談交渉によって決まります。

ただ、事故の被害が大きなものであれば損害賠償額も高くなるので、加害者側となかなか話がまとまらないこともあります。

相手方の保険会社から提示される金額では、納得できないというケースもめずらしくありません。

また、加害者が誠実に対応してくれなかったり、後遺症を負ってしまったときには手続きで困ったりする場合もあります。

示談交渉にまつわるトラブルを回避するには、交通事故事案に詳しい弁護士に相談するのも1つの方法です。

弁護士に依頼をすることで弁護士基準(裁判基準)での慰謝料請求が可能となり、金額が増える可能性もあります。

実際に交通事故の示談交渉においては、弁護士に依頼をしている人が年々増えており、それだけ多くのニーズがあることがうかがえます。

交通事故の被害にあうとケガの治療や保険会社とのやりとりなど、何かと取り組まなければならないことも多いと言えます。

手間や時間をかけることを考えれば、1人で悩んでしまう前に弁護士のサポートを受けることも検討してみましょう。

まとめ

交通事故の被害者となると、慰謝料だけでなく休業損害や逸失利益など、さまざまな損害賠償を加害者に対して請求できます。

ただ、損害賠償額を正確に計算するには専門的な知識も必要であり、被害者が1人で取り組むのは大変な面もあります。

後遺障害認定の手続きや相手方の保険会社とのやりとりに困ってしまったときには、交通事故事案に詳しい弁護士に相談をしてみましょう。

納得できる損害賠償金を得るためにも、弁護士のサポートを受けることが大切です。

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