慰謝料の計算

2021.07.29更新

交通事故の入通院慰謝料はいくら?3つの基準の計算方法と注意点

「入通院慰謝料って何? いくらもらえるの?」

交通事故にあってしまった場合に受け取る慰謝料のうち、その大半が「入通院慰謝料」といわれるものです。

実際に受け取れる入通院慰謝料の金額は人によって異なりますが、適切な知識を持つことによって、妥当な額の入通院慰謝料を受け取ることができる可能性が高まります

この記事では「いくらもらえるのか」「どうしたら妥当な額の入通院慰謝料がもらえるのか」など、入通院慰謝料の相場や計算方法について解説していきます。

この記事でわかること

  • 入通院慰謝料とは何かがわかる
  • 入通院慰謝料の計算方法と相場がわかる
  • 妥当な額の入通院慰謝料を受け取る方法がわかる
  • 入通院慰謝料で被害者が気を付けるべき2つの注意点がわかる

入通院慰謝料って何?慰謝料の3つの種類と概要

入通院慰謝料とは

入通院慰謝料とは、交通事故のケガが原因で入院や通院をしたことに対する慰謝料のことです。

入通院慰謝料は、慰謝料のうち、交通事故でケガをして入院や通院をした際に支払われるものです。

ケガの程度にかかわらず、どれだけの期間、入院・通院したかによって金額が決まるので入通院慰謝料と呼びます。

入通院の期間や日数が長くなるほど、入通院慰謝料の金額は高くなります

慰謝料の3つの種類

交通事故の3つの慰謝料
入通院慰謝料ケガの治療での入院や通院に対して支払われる
後遺障害慰謝料後遺障害が残った場合に支払われる
死亡慰謝料死亡事故の場合、亡くなった本人と遺族に対して支払われる

「入院や通院をしたこと」に対するお金というのは、「治療費」や「通院交通費」とは違うのか疑問に思う方も多いでしょう。

治療費や通院交通費が「実際にかかったお金」であるのに対して、慰謝料は「精神的な苦痛に対して支払われるお金」なので、別物です。

慰謝料は「損害賠償金」つまり示談金の一部に含まれています。

入通院期間の目安は?交通事故の治療期間と慰謝料の関係

一般的な入通院期間の目安に要注意

交通事故による一般的な治療期間の目安は、以下のように考えられています。

打撲の場合 1か月
むちうちの場合 3か月
骨折の場合 6か月

ただし、この治療期間の目安は保険会社が考えているもので、治療の打ち切りの目安とされています。

治療期間の目安を考慮して、完治する前に入院・通院をやめてしまった場合、適当な治療が受けられないだけでなく、受け取る慰謝料の金額も減ってしまいます

治療期間を決定するのは、治療に関与した担当医師の合理的な判断であって、保険会社ではありません。

入院・通院期間の目安は保険会社が定めていますが、大切なのは目安にとらわれず完治、または症状固定するまでしっかりと通院することです。

手術をした場合は?入通院期間以外の慰謝料増額の要素

やはり原則としては入院・通院の期間や日数をもとに計算されますが、例外もあるようです。

入通院慰謝料は、基本的に入院や通院した期間や日数をもとに計算されますが、手術をした場合に慰謝料が増額されるケースもあります

具体的には、「生死が危ない場合、麻酔なしで苦痛を被ったとき、手術を繰返したときなどは、入院期間の長短にかかわらず別途増額を考慮する」とされています。

こうした入通院期間以外の慰謝料増額の要素は、弁護士が使用している「赤い本」と呼ばれる「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」によって定められています。

そのため、手術によって慰謝料が増額するのは、弁護士に依頼した場合ということになります。

いくらもらえる?入通院慰謝料の金額の計算方法と相場

入通院慰謝料の金額の相場は、慰謝料の「3つの基準」のうち、どの基準にあてはまるかによって異なります

慰謝料の「3つの基準」

3つの慰謝料基準 慰謝料の金額を計算する際には「3つの基準」が存在し、どの基準が適用されるかにより慰謝料の金額が異なります
慰謝料の3つの基準基準が適用される条件
自賠責保険基準相手が任意保険に加入していない
任意保険基準相手が任意保険に加入している
弁護士基準(裁判基準)被害者が弁護士に依頼した場合
たとえば、事故の加害者が「任意保険」に加入していた場合、任意保険基準額が適用されます。 そして、その任意保険基準と入通院期間をもとに算出された金額が慰謝料として支払われる、ということです。 ではその基準ごとに、入通院慰謝料がいくらになるのかみていきましょう。

自賠責保険基準の計算方法と相場

自賠責保険とは?

自賠責保険は、車両を運転する際には必ず加入が義務付けられている強制保険です。 自賠責保険基準は、国から補償される最低限の金額のため、3つの基準の中で最も慰謝料の金額が低い基準になります。 加害者の方が任意保険に加入していない場合は強制保険のこちらが適用されます。

自賠責保険基準での計算方法

自賠責保険基準額での入通院慰謝料は「実治療日数」を基準としており、1日あたり4,300円の慰謝料がでます
  • ・初診から治療終了までの期間
  • ・入院日数+実際の通院日数の合計の2倍
上記2つの「少ない方」に日額の4,300円をかけて算出します。
    <自賠責保険基準の入通院慰謝料の算定式> (例)骨折をし、治療期間中ギプスを常時装着する生活をしていた場合(30日間入院し、その後30回通院、かつ初診~治療終了が90日間)。 計算式) ・初診から治療終了までの期間:90日間 ・入院日数+実際の通院日数の合計の2倍:(入院30日間+通院30日間)×2=120日間 上記2つのうち少ない方の「初心から治療終了までの期間」を適用して計算すると、 4,300円×90日間=387,000円 となります。

任意保険基準の計算方法と相場

任意保険とは?

任意保険は、自賠責保険でまかないきれない部分を補う役割を果たしている保険です。 加害者の方が任意保険に加入している場合はこの任意保険基準額が適用されます。

任意保険基準での計算方法

1日あたりの金額は保険会社ごとに違いますが、自賠責保険基準よりも受け取れる慰謝料の金額は大きくなります。 今回は東京海上日動火災保険での事例を参考にします。
    <任意保険基準の入通院慰謝料の算定式> (例)骨折をし、治療期間中ギプスを常時装着する生活をしていた場合(30日間入院し、その後30回通院、かつ初診~治療終了が90日間)。 計算式) 8,400円×入院30日間=252,000円 4,200円×実治療日数60日間=252,000円 252,000+252,000=504,000円 となります。 (東京海上日動火災保険㈱ 保険:人身傷害条項損害額基準より)

弁護士基準(裁判基準)の計算方法と相場

弁護士基準(裁判基準)とは?

弁護士基準とは、裁判での過去の判例をもとに慰謝料を受け取ることができる基準です。 他2つの基準が加害者側の加入している保険に左右されるのに対し、弁護士基準は、被害者の方が弁護士に依頼することで適用されます

弁護士基準での計算方法

弁護士基準では、けがの程度によって2種類の算出方法があります

以下の表を参考にしてください。

軽傷(むちうち・打撲等)の入通院慰謝料表(単位:万円)弁護士基準による軽傷(むちうち・打撲等)の入通院慰謝料表

重傷(骨折等)の入通院慰謝料表(単位:万円)弁護士基準による重傷(骨折等)の入通院慰謝料表

    <弁護士基準の入通院慰謝料の算定式> (例)骨折をし、治療期間中ギプスを常時装着する生活をしていた場合(30日間入院し、その後30回通院、かつ初診~治療終了が90日間)。 1ヶ月入院をし、2ヶ月通院したことになるので、上の重傷の場合の表から 980,000円 となります。

入通院慰謝料はどのくらい変わる?3つの基準を比較

「3つの基準」で算出した入通院慰謝料について比較してみましょう。
入通院慰謝料の比較
自賠責保険基準387,000円
任意保険基準504,000円
弁護士基準980,000円
被害者が弁護士に依頼することで弁護士基準での慰謝料を受け取れます。 受け取れる慰謝料の金額がどのくらい変わるのか、まずは弁護士に相談してみるのも良いでしょう。

入通院慰謝料を受け取るためには?気を付けるべき注意点2つ

  • 必ず診断書を警察に提出する
  • 完治するまで入院・通院をやめてはいけない

必ず診断書を警察に提出する

交通事故の治療診断書 入通院慰謝料を受け取るためには、まず人身事故であることを警察に認識してもらうことが必要です。 そのために、交通事故にあってしまったら、早めに医療機関へ行き、診察をうけた後、診断書を発行してもらいましょう。 医療機関を受診せずに、警察に物損事故として対応されてしまうと、適切に慰謝料を受け取ることができません。

完治・症状固定するまで入院・通院をやめてはいけない

入通院慰謝料は、実際にした入院・通院の期間や日数に応じて支払われるものです。 完治していないうち、症状固定しないうちに入院・通院をやめてしまうと、本来請求できたはずの金額を請求できなくなる可能性があります
弁護士に相談すると、他にも適切な金額の慰謝料を受け取るためのアドバイスをもらうことができます。

入通院慰謝料で損しない!弁護士に相談するメリット

弁護士に相談する際、費用が高いという不安を感じている人も多いでしょう。 弁護士特約を使えば、保険会社に弁護士費用を負担してもらうことができます

弁護士費用特約で、弁護士費用を保険会社が負担

弁護士費用特約に加入している方は、保険会社が300万円まで弁護士費用を負担してくれるので、自己負担を抑えることができます。 早い段階から弁護士に依頼することで以下のようなメリットがあります。
弁護士に依頼するメリット
  • 弁護士基準が適用されるので慰謝料の増額を目指せる
  • 入院・通院の期間や回数について適切なアドバイスがもらえる
  • ストレスになりうる示談交渉を代行してくれる
  • 後遺障害が残った場合に、等級認定のサポートを受けられる
弁護士費用特約に加入していない方も、弁護士に依頼することで受け取れる慰謝料の増額を目指せます。 まずは弁護士に相談してみましょう。
  • 入通院慰謝料とは、ケガをして入通院したことに対する慰謝料のことである
  • 入通院慰謝料の金額は入通院の期間や日数によって決まる
  • 弁護士基準が適用されると妥当な額の慰謝料を受け取れる
  • 入通院期間の目安にかかわらず完治するまで治療を続けることが大切
この記事のまとめ

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