2020.4.28 更新

自賠責保険の慰謝料計算は簡単│適正な額の慰謝料を受け取る方法とは?

自賠責基準だと慰謝料はいくらくらいなの?
自賠責保険での慰謝料はいつ支払われるの?

交通事故にあい、ケガをしてしまった場合は相手の保険会社から慰謝料を支払ってもらえます。

相手が任意保険に加入していなかった場合は、車をもっている人が強制的に加入する自賠責保険から慰謝料が支払われます。

しかし、自賠責保険は最低限の補償です

交通事故の被害者が自賠責保険で受け取れる慰謝料について、詳しく紹介するとともに「納得できない」場合の対処法についてもお話ししていきます。

・自賠責保険は最低限の補償のみ
・示談終了後1~2ヶ月以内に振り込まれる
・自賠責基準での慰謝料の計算方法
・弁護士に示談交渉を依頼すると慰謝料が増額する

あなたの慰謝料はいくら?まずは自動計算機で計算

自賠責保険とは?

自賠責保険とは、車を購入した場合に法律によって加入が義務づけられている保険です。

自賠責保険は最低限の支払いをしてくれる強制保険

自賠責保険は、「最低限の被害者救済のための保険」という位置づけになります。

自賠責保険で対象となるものは、人身損害のみです。物損事故は自賠責保険では補償されません。

また、自賠責保険は他人への障害に対して補償するものです。

そのため自分のケガに対しては「加害者側の」自賠責保険から補償を受けることになります。

    自賠責保険で補償されないもの

  • 自動車や器物など「もの」への損害
  • 自分のケガに対する損害

人身損害とは、ケガによる傷害と死亡による損害で、それぞれ上限額が存在します。

自賠責保険が補償してくれる費用と限度額

ケガの場合、支払限度額が治療関係費や通院交通費、休業損害や慰謝料などをすべて合わせて120万円となっています。

以下が、支払限度額である120万円の範囲で支払われる項目です。

ケガによる損害補償の内約
費用名 定義 補償額
治療費 診察費・入院費・手術費など全て 全額
通院交通費 病院に通うときにかかった交通費 全額
入通院慰謝料 ケガでの精神的苦痛に対する慰謝料 1日4,200円
(4,300円)
休業損害 ケガによって収入が減ってしまったことへの補償 1日約5,700円
(6,100円)
入院中の看護費 12歳以下の子どもの入院に付き添った場合に支払われる 1日4,100円
(4,200円)
通院の看護費 12歳以下の子どもの通院に付き添った場合に支払われる 1日2,050円
(2,100円)
義肢等の費用 ギプス・松葉杖や車椅子など 全額
文書料 診断書や交通事故証明書などを発行する費用 全額
諸雑費 その他入院中の諸雑費 入院1日あたり1,100円

※( )内は自賠責保険の支払基準改正後の金額。2020年4月1日以後の交通事故に適用されます。

さらに後遺障害が残った場合には、後遺障害の等級に応じて後遺障害慰謝料の支払いがあり、限度額は4,000万円です。

また、被害者が死亡してしまった場合にも死亡慰謝料の支払いがあり、1人あたりの限度額は3,000万円です。

限度額を超える損害については、
・加害者本人か加害者が加入している任意保険会社から賠償金の支払いを受ける
・弁護士に依頼して自賠責保険とは別の基準で慰謝料を計算してもらう
必要があります。

自賠責保険の慰謝料請求の流れ

慰謝料請求は、交通事故で受けたケガが完治(治癒)または、症状固定後に請求します。

症状固定とは「これ以上治療を続けても症状が改善されない」と医師が判断したタイミングで、つまり後遺症が残ったケースです。

後遺症が残った場合は、後遺障害認定を受けることで、後遺障害慰謝料も合わせて請求します。

慰謝料の金額は最終的には示談交渉によって決まります。つまり話し合いによるお互いの同意が必要なのです。

自賠責保険からの慰謝料はいつもらえるの?

自賠責保険からの示談金(慰謝料)の振り込みは、原則示談交渉が終了してから1~2ヶ月以内といわれています。

ですから、それまでにかかる治療費などはご自身で立て替えをしなければなりません。

交通事故関連で出た出費はすべて領収書をもらっておきましょう。

保険会社から送られてくる示談書に押印すると、示談終了という判断になります。

それまでに領収書などを保険会社に提出してください。

自賠責保険の入通院慰謝料を計算してみよう

ここからは実際の慰謝料がいくらになるのか見ていきましょう。

自賠責での慰謝料を算出するには通院した日数と期間を数える必要があります。まずこの2つを数えてください。

算出に必要な値

(1)実治療日数×2

実際に通院・入院した回数(日数)を2倍した値

(2)治療期間

通院開始日〜通院終了日までが何日か

次に、これらの数字を使って慰謝料の算出をします。

自賠責保険の慰謝料計算式

自賠責での慰謝料は1日あたり4,200円で規定されています。※自賠責保険の支払基準の改正により、2020年4月1日以降の事故は4,300円

(1)実治療日数×2

(2)治療期間

上記2つの「少ない方」に日額の4,200円をかけた額が慰謝料の額です。

例えば、むちうち(頚椎捻挫)で3ヶ月通院・実通院日数が16日の場合だと

(1)通院・入院した日数 は16日で、2倍すると32日

(2)通院・入院した期間 は3ヶ月間なので90日

(1)の方が少ないので32に4,200円をかけます。

32×4,200=134,400

ですので慰謝料は13万4,400円になります。

ただし、先ほどもお話ししたように自賠責保険での支払限度額は、治療関係費や通院交通費、休業損害や慰謝料などをすべて合わせて最大120万円までです。

したがって治療期間が長引いたり、治療費が高額になった場合は、この計算よりも低くなる可能性があります。

後遺症が残ってしまった場合は後遺障害慰謝料が受け取れる

万が一治療後に後遺症が残ってしまった場合は、入通院慰謝料とは別に後遺障害慰謝料も受け取ることが可能です。

後遺障害慰謝料は後遺症の重度で金額が決まります。

後遺症が残ってしまった場合、後遺障害の等級認定を受けなければなりません。

1〜14級まで等級が存在し、ご自身が認定された等級によって後遺障害慰謝料の金額が決まっています

自賠責保険での後遺障害慰謝料の金額は以下のとおりです。

等級別の慰謝料金額(相場)
1級 1,100万円
(1,150万円)
2級 958万円
(998万円)
3級 829万円
(861万円)
4級 712万円
(737万円)
5級 599万円
(618万円)
6級 498万円
(512万円)
7級 409万円
(419万円)
8級 324万円
(331万円)
9級 245万円
(249万円)
10級 187万円
(190万円)
11級 135万円
(136万円)
12級 93万円
(94万円)
13級 57万円
(57万円)
14級 32万円
(32万円)

※( )内は自賠責保険の支払基準改正後の金額。2020年4月1日以後の交通事故に適用されます。

後遺障害慰謝料は、先ほど計算した入通院慰謝料とは別物なので、限度額の120万円の範囲には含まれません。

後遺障害慰謝料については、後遺障害について詳しく書いた記事がありますので、こちらもあわせてご覧ください。

死亡慰謝料は自賠責保険ではいくらになる?

被害者が死亡してしまった場合、加害者側から被害者の家族に自賠責保険から慰謝料が支払われます。

死亡慰謝料は、亡くなってしまった本人への慰謝料と被害者のご家族に支払われる慰謝料の合計がになります。

死亡した本人の慰謝料は350万円(※2020年4月1日以降は400万円)で固定です

この額は死亡慰謝料として非常に少ない額です。ご家族に支払われる金額も見てみましょう。

被害者の遺族へ支払われる慰謝料額

ご家族への慰謝料は請求人数によって異なります。詳細は以下のとおりです。

家族として判断されるのは被害者の親・配偶者・子どもと決まっています。

ご家族に支払われる死亡慰謝料
家族が1人の場合 550万円
家族が2人の場合 650万円
家族が3人の場合 750万円

被扶養者がいる場合、上記の金額に1人あたり200万円が上乗せされます。

例えば、両親と子ども一人の家庭で父親が交通事故で死亡した場合、残された母子に支払われる自賠責保険の慰謝料は、

(本人への慰謝料)350万円+(家族への慰謝料)650万円=1,000万円
となります。

ここまで自賠責保険での慰謝料金額についてお話ししてきました。

しかし、最初にお話しした通り自賠責保険は「最低限の補償」に過ぎず、「慰謝料額に納得できない」と思われた方もいるかもしれません。

被害者にとって、より妥当な慰謝料額にするための方法として「弁護士基準」で計算することが挙げられます。

弁護士基準による慰謝料は自賠責保険基準の2倍になるケースも

交通事故の慰謝料には自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つの計算方法があります。

自賠責保険では、自賠責基準が慰謝料の計算に採用されます。

3つの基準の中で、多くの場合で弁護士基準が最大額の損害賠償を受け取ることになります

例:入通院慰謝料の比較(むちうちなど他覚症状が見られず、それぞれ通院のみ、ひと月に10回通院したとする)

自賠責保険基準 任意保険基準 弁護士基準
1ヶ月 8.4万円 12.6万円 19万円
3ヶ月 25.2万円 37.8万円 53万円
6ヶ月 50.4万円 64.3万円 89万円

弁護士基準で計算すると、入通院慰謝料だけでも2倍の額になる可能性もあるのです。

自賠責保険基準がもっとも高額になるケースも

気をつけておきたいのが、被害者に一定以上の過失が認められた場合には、3つの基準のうち自賠責保険基準がもっとも高額になる点です。

通常、慰謝料を含めた損害賠償は、最終的に過失相殺によって減額されます。
(もちろん、もらい事故のように被害者の過失がゼロであれば、過失相殺はされません)

ただし自賠責保険に限り、被害者の過失が70%未満であれば過失相殺されず、全額受け取ることが可能です。

参考:自賠責保険での過失割合と損害賠償の減額割合

被害者の過失割合 傷害(入通院のみ) 後遺障害・死亡
70%未満 減額されない 減額されない
70%以上80%未満 20%減額 20%減額
80%以上90%未満 20%減額 30%減額
90%以上100%未満 20%減額 50%減額

たとえば、交通事故でケガをして
・治療費10万円
・症状はむちうち(他覚症状がない)
・治療期間は入院1ヶ月(30日)+通院2ヶ月(30日)
・後遺障害なし
とした場合、自賠責保険基準、弁護士基準の慰謝料額と治療費を合わせた損害賠償は以下のようになります。

自賠責保険基準 弁護士基準
治療費 10万円 10万円
慰謝料 37万8000円(4200円×90日) 69万円
損害賠償合計 47万8,000円 79万円

この時点では、弁護士基準で慰謝料を計算した方が、合計の損害賠償も高額になります。
しかしここに過失割合が加わると以下の通りになります。

被害者の過失割合 自賠責保険基準 弁護士基準
0割 47万8,000円 79万円
1割 47万8,000円 71万1,000円
2割 47万8,000円 63万2,000円
3割 47万8,000円 55万3,000円
4割 47万8,000円 47万4,000円
5割 47万8,000円 39万5,000円

となり、このケースでは被害者の過失割合が4割を超えると自賠責保険基準が高額になります。

それでも弁護士に依頼するメリットとは?

弁護士に依頼したからといって、必ず弁護士基準で慰謝料などの損害賠償になるわけではありません。

交通事故示談の経験が豊富な弁護士であれば、最適な基準で算出してくれます。

また、弁護士に依頼すると
・加害者側との交渉をすすめてくれる
・妥当な過失割合になるよう証拠を集める
・後遺障害等級認定の書類集めや手続きを代行してくれる
など、裁判での判例など根拠をもって被害者が有利になるよう示談を進めてくれます

被害者の方がご自身で示談交渉をすると、不利になってしまう可能性があります。

実際に、少ない額の慰謝料しか提示されないケースが多く存在しています。

以下に、弁護士に示談交渉を依頼するメリットをまとめたのでご覧ください。

弁護士に示談交渉を依頼するメリット

  • 慰謝料の金額が増額する
  • 面倒な示談交渉を代行してくれる
  • 適切な後遺障害等級を認定してもらえる
  • 過失割合を小さくできる可能性もある
  • 休業損害も増額することが可能

ですので今、交通事故にあって相手の保険会社の言い分が正しいかどうかわからずに悩んでいる場合などには、まずは弁護士に相談してアドバイスをもらいましょう。

交通事故の慰謝料についてもっと詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

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