2020.3.27 更新

交通事故の被害者が押さえるべき事故~示談までの流れとポイント

交通事故の被害にあったのですが、示談交渉はどんな流れでやっていけばいいのでしょうか?
事故直後の対応から始まって、治療・完治(症状固定)・示談交渉・示談成立・損害賠償の受け取りまでが一連の流れとなります。後遺症が残っている場合には、後遺障害認定の手続きも必要です。

交通事故の被害者は、加害者に対して治療費や慰謝料など損害賠償の請求ができます。

とはいえ、「どのような流れで請求すればよいのか」ご存知の方は決して多くないでしょう。

もしかするとまだ治療の最中にも関わらず、加害者側の保険会社などから示談金について提案されている方もいるかもしれません。

損害賠償の請求などの交通事故示談は、取り組むべきことは多いものの、慰謝料や治療費の金額にも影響するため、手順やポイントを押さえておくことが重要です。

対応の仕方次第で、加害者への損害賠償額も大きく違ってくるケースもあるので、必要に応じて弁護士に相談するという選択肢も持っておきたいところです。

では、どのような点に気をつけるべきかについて、詳しく解説していきます。

交通事故が起こってから示談が成立するまでの流れ

交通事故の被害者となってしまったときには、事故発生から示談の成立までスムーズにたどり着くために、全体像をしっかりと押さえておく必要があります。

事故が起こった直後の対応を解説すると共に、人身・物損事故の違いについても紹介していきます。

示談が成立するまでの全体像

交通事故が発生してからの流れは、事故直後の対応を済ませて、病院で診断を受けます。

医師の指示にしたがって治療し、完治もしくは症状固定(治療を継続しても症状が改善しない状態)となるまで通院します。

相手方の保険会社と示談交渉を行い、慰謝料などの損害賠償について話し合いましょう。

示談が成立すれば、決められた期日に損害賠償金が支払われます。

一方で、症状固定となってからも後遺症が残ってしまうときには、後遺障害の等級認定手続きを行います。

後遺障害と認められるかは損害賠償請求にも影響してくるので、しっかりと取り組むことが大切です。

後遺障害慰謝料や逸失利益(将来得られるはずだった収入)などを加害者側に請求し、示談が成立するまで交渉を進めていきます。

なお、当事者同士で示談が不成立となったときには、裁判に至るケースもあるので念頭においておきましょう。

事故直後に取り組むべき3つのポイントと人身・物損事故の違い

交通事故にあったときには、事故直後の対応がとても重要になります。

対応を誤ってしまうと後から不利益を被ることもあるので、以下のポイントを押さえて取り組んでみましょう。

また「もう済ませた」ような方も、抜けているポイントがあったかもしれません。
事後対応できるケースもありますので、ぜひご確認ください。

(1)事故現場の確認(保全)

交通事故の被害者になってしまったときには、二次災害が起こることに注意しながらも、できるだけ現場の状況を保存していきます。

目撃者を探して協力をお願いしたり、氏名や連絡先などを聞いたりしておきましょう。

また、現場周辺や車両の状況を写真で撮影して、証拠として保存しておくことも大切です。

加害者側の感情を高ぶらせない範囲で撮影し、その場での現金のやりとりや示談には応じないことも重要だといえます。

(2)加害者と加害車両の確認

事故の加害者から氏名や住所、連絡先などを聞いておきましょう。

聞いておくべきポイントは、以下の3つです。
・加害者の氏名・住所・電話番号
・加害者の車(バイクも含む)の登録番号(車両ナンバー)
・加害者が加入している任意保険会社

名刺がある場合には何枚かもらっておくことのもポイントです。

車両のナンバーをひかえて、加害者が加入する保険会社を免許証などで確認してください。

また加害者の加入している保険会社についても確認しておきましょう。
治療費の支払いを保険会社に対応してもらうようにするためです。

(3)警察への通報

事故にあって目立ったケガをしていなかったとしても、必ず警察に連絡をして人身事故として届け出を行いましょう。

軽い事故の場合では、加害者から物損事故扱いにしてほしいと頼まれることもありますが、安易に応じてはいけません

なぜなら、物損事故として処理されてしまうと自賠責保険も使えなくなり、保険会社も人身に関する補償に応じてくれない可能性があるからです。

警察の立ち合いのもと、実況見分を行ってもらって事故の記録をきちんと残してもらいましょう。

治療開始から症状固定までの流れと後遺障害

交通事故とケガの因果関係をはっきりとさせるためには、事故直後に自覚症状がなかったとしても、必ず病院に行くことが大切です。

むちうちなどは時間が経ってから症状が出てくる場合もあるため、事故当日もしくは翌日には整形外科などを受診しておきましょう。

ここでは、治療の基本的な流れとポイントについて解説し、後遺障害の定義を紹介していきます。

治療の流れとポイント

病院で治療を受けるときには、以下の3つのポイントを意識しておく必要があります。

(1)治療費を立て替えるときは領収書を保管

交通事故によるケガの治療費は、最終的に加害者側に請求することができます。

見落としがちですが、被害者は交通費も請求することも可能です。
たとえば足をケガした場合は、タクシーでの移動を余儀なくされるケースもありますので、被害者側で立て替えた金銭は、しっかりと明細書や領収書を保管しておきましょう。

バスを利用するなどして領収書がない場合には、金額や日付を書いたメモを残しておくのが有効な手段です。

(2)健康保険の使用が可能

交通事故にあったタイミングが勤務中や通勤中であれば、労災保険が適用されます。

事故後すみやかに、勤務先に連絡をして必要な手続きを行いましょう。

それ以外の場合では、健康保険が使用できるのですぐに病院で診察を受けてください。

どちらか一方の保険しか使えないので、状況にあわせて適切に判断することが大切です。

(3)通院を継続することが重要

交通事故示談では、症状の重さは病院への通院頻度や通院回数によって判断される面も大きいといえます。

治療が済んでから申請する後遺障害の等級認定手続きや、示談交渉における損害賠償請求にもかかわってくるので注意が必要です。

加害者の保険会社からすれば、「通院頻度が少ない=ケガの程度が軽い」と判断する傾向にあるため、治療費の打ち切りや損害賠償額の減額にもつながりかねません。

いつまで治療すべきかは担当医師が判断をするので、継続して病院に通うことが重要です

後遺障害とは?後遺症との違いと認定手続き

治療を継続しても完治せずに、後遺症が残ってしまうことがあります。

症状によっては後遺障害として認められるものもあるので、医師に後遺障害診断書を作成してもらい、等級認定の申請を行ってみましょう。

後遺症のすべてが後遺障害として認められるわけではなく、あくまでも交通事故と後遺症の因果関係が証明されたものだけです。

そのため、医師による診断書のほかにも、レントゲンやMRIといった検査データなども提出して医学的な裏付けを行う必要があります。

後遺障害の等級認定の結果が出るまでには1~2ヶ月程度かかりますが、加害者側に請求できる損害賠償額にも違いが出てくるものです。

書類の準備や手続きで困ってしまったときには、後遺障害認定に詳しい弁護士に相談をしてみましょう。

示談交渉の進め方と損害賠償請求

治療が終わると、加害者側に慰謝料などの損害賠償を行います。いわゆる示談交渉です。

加害者側と示談交渉を行うときには、基本的な流れと損害賠償請求のポイントを押さえておくことが重要だといえます。

なぜなら、いったん示談交渉が成立してしまうと、それ以降の損害賠償請求は行えなくなってしまうからです。

示談交渉を行うときは、医師から症状固定と診断された後もしくは、後遺障害認定を受けた後に始めましょう。

示談交渉の流れ

示談交渉の流れとしては、以下の4つのパートに分けられます。

(1)示談の提案文書の精査

ケガの治療が終わると、相手方の任意保険会社から示談に関する提案が書面で送られてきます。

書面には慰謝料や休業損害といった損害の項目と金額が記載されているので、1つずつ内容に問題がないかを確認しましょう。

加害者が「任意保険に加入していない」「自分で請求したい」場合は、自分で作成するのも可能です。

保険会社の提案内容は、必ずしも被害者が納得できる賠償ではない可能性もあります。十分に確認するようにしましょう。

(2)送付された示談書に不満がある場合、証拠資料を送付

保険会社から提示された内容について不満があるときには、具体的な理由を説明して、どの程度の金額が妥当であるかを反論します。

反論を裏付ける検査データなどの証拠資料がある場合には、相手方の保険会社に送付しましょう。

(3)相手の保険会社から回答が来る

被害者からの反論を保険会社が検討したうえで、回答が伝えられます。

当初の提示額から上乗せする、あるいは当初の提示額が限度であるといった内容になるはずです。

(4)示談が不成立に終わった場合、訴訟等の手続きの検討

双方が主張と反論を続けても歩み寄れない場合には、示談交渉は不成立となります。

示談がまとまらなければ、裁判を起こすかどうかを検討することになるでしょう。

裁判では月に1回のペースで口頭弁論が行われ、当事者同士が証拠をもとに主張をしていく流れとなります。

ただ、裁判が長期化することは被害者や加害者にとっても、時間や労力がかかってしまう面もあります。

そのため、双方の意見を聞いたうえで、裁判所から和解案が示されるケースも多いのです。

和解がまとまらなければ、そのまま判決へと進む形となります。

裁判を起こすうえで注意すべき点は、負けてしまうと相手の分の弁護士費用も負担することになり、請求できる損害賠償額も少なく可能性があることです。

裁判をする時点で、示談交渉で提示されていた金額は放棄したものと見なされるため、結果的に大きな損を被ってしまう場合もあります。

裁判の手続きは専門的な知識や経験が必要であるので、弁護士に相談するほうが良いといえます。

保険会社への対応と注意点

ケガの治療を行っている途中で、加害者の保険会社から治療費の打ち切りや症状固定を勧める連絡がくることもあります。

安易に応じてしまうと、その後の示談交渉において損害賠償請求額が少なくなるなど不利になります

症状固定の診断は、あくまでも担当医師が行うもの。したがって治療状況を詳しく記した診断書を作成してもらい、治療の必要性をしっかり主張する必要があります。
もし加害者側が一方的に治療費を打ち切った場合は、一時的に立て替えておき、示談交渉時に請求しましょう。

慰謝料以外にも請求できる!損害賠償の種類

加害者側に対する損害賠償においては、慰謝料以外にも逸失利益や休業損害など、さまざまな項目を請求できる可能性があります。

逸失利益は「将来得られるはず」の収入に対する補償であり、休業損害は「入院などによって仕事を休まざるを得ない」ことに対する補償です。

他にも、症状固定前には治療費や交通費、付添看護費や入通院慰謝料などが請求できます。

症状固定後に後遺障害と認定されれば、後遺障害慰謝料が請求できる点も押さえておきましょう。

過失割合と過失相殺

過失割合とは、交通事故の発生に対して、被害者と加害者の間でどれくらいの過失があったかを示すものです。

加害者に100%の過失があるケースや、被害者にも一定の過失があるケースなどがあります。

一般的には、過失割合が大きいほうを加害者、小さいほうを被害者と見なします。

どの程度の過失割合があるかは、過去の判例などをもとに決まるので、慎重に捉えていく必要があるのです。

そして、過失相殺とは決められた過失割合によって、損害を双方に負担させることを指します。

過失相殺が起こるケースでは、被害者と加害者がそれぞれ契約している保険会社から保険金が支払われる形となります。

それでも、損害をまかなえない場合には、治療費の一部が自己負担になる場合もあるので注意が必要です。

健康保険などをうまく活用して、できるだけ負担を軽減してみましょう。

示談で頼りになるのは弁護士

交通事故の被害者となってしまったときには、事故直後の対応から治療、保険会社とのやりとりに加えて示談交渉などを行う必要があります。

すべての対応を1人で取り組むのは大変でもあるため、悩んだときには交通事故問題に詳しい弁護士に相談することが重要です。

弁護士に依頼をすれば、相手方の保険会社から治療の打ち切りを迫られたり、後遺障害認定の手続きをしたりするときにサポートしてもらえます。

専門的なアドバイスを受けられるので、必要な書類をもれなく準備できるはずです。

また、弁護士が間に入ることで弁護士基準が適用されるので、慰謝料などの請求において納得できる金額を得られる可能性も高まります

加入している保険会社の弁護士費用特約を利用すれば、弁護士費用を気にすることなく依頼できるので、事故にあったらすぐに確認しておきましょう。

まとめ

交通事故にあってしまうとケガの治療だけでなく、示談交渉や後遺障害認定の手続きなど、さまざまな対応に迫られてしまいます。

相手方の保険会社と1人で交渉をするのは大変であり、必要な書類を準備するだけでも時間や労力がかかってしまうはずです。

交通事故問題に関する知識や経験が豊富な弁護士に依頼をすることで、負担をうまく軽くできます。

弁護士費用特約などを活用して、事故後は早い段階で相談をしてみることも大切です。

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