2020.4.28 更新

交通事故の慰謝料は課税される?税務上の気をつけるべきポイント

交通事故の慰謝料に税金はかかる?

交通事故で被害者となってしまったときに請求できる慰謝料は、原則として税金はかかりません

なぜなら、慰謝料は事故による精神的なダメージを補てんするもので、収入ではないからです。

そもそも、交通事故にあっていなければ受けることがなかった損害であるため、損害賠償金を受け取ったからといって利益を得ているわけではありません。

そのため、基本的に慰謝料は税金がかからないという点を押さえたうえで、税務上気をつけるべきポイントについて解説していきます。

交通事故の慰謝料や見舞金は原則として非課税

交通事故の被害に対する慰謝料や見舞金は、損害への補償といった名目で受け取るものであるため、原則として税金はかかりません。

所得税などの税金は、あくまで収入に対して課されるのが原則。したがって、慰謝料など対象外とされています。

保険金や損害賠償金に関する税金の取り扱いについては、所得税法第9条第17号でも名文化されています。

【所得税法第9条第17号】
保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第四項(定義)に規定する損害保険会社又は同条第九項に規定する外国損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの

また、残された遺族に支払われた慰謝料にも所得税はかかりません。

見舞金についても、所得税法施行令第30条第3号において非課税となっています。

慰謝料に税金がかかるケースがあるとすれば、社会的な常識の範囲を超えて、高額な見舞金を受け取った場合です。とはいえ具体的な金額も定められてはいませんので心配する必要はないでしょう。

そして、ケガの治療のために仕事を休んだときに受け取る休業損害は、一見して収入にあたるかもしれないと感じる面もあるでしょう。

しかし、あくまでも事故にあっていなければ受け取るものではないため、給与ではなく損害賠償金として取り扱われます。

そのため、休業損害についても税金はかかりません

課税される場合には3つの税金に分けられる

交通事故の慰謝料は原則として非課税です。しかし例外的に課税の対象になるケースもありますし、慰謝料以外で課税対象となるものもあります。

ここからは交通事故の損害賠償で課税対象となる代表的なものを紹介していきます。

所得税がかかるケース

1.死亡保険金
所得税が課される場合としては、被害者が加入している保険会社から死亡保険金を受け取ったときがあげられます。

所得税の課税対象となるのは、保険料の負担者と保険金の受取人が同一人物のとき、たとえば夫が妻の保険料を支払っていて、妻が交通事故により死亡し、夫が保険金を受け取るといったケースです

また、死亡保険金は受け取り方によって、所得の種類が異なります。

保険金を一時金として受け取ったときには一時所得として扱われ、年金の形で受け取ると雑所得(他の所得に分類できないもの)として扱われます。

一時金として受け取ったときの税金の計算は、以下の計算式となります。

(収入額-支出額-特別控除額)÷2=課税額

支出額とはそれまでに払い込んだ保険料のことであり、特別控除額は最大で50万円まで認められています。

一方で、年金で受け取ったときの雑所得の計算式は以下の通りです。

収入額-必要経費=課税額

雑所得の場合では特別控除は認められていない点に注意しましょう。

一時所得と雑所得では総合課税制度が適用されるので、他の所得と合計して税金を計算します。

2.過剰な見舞金
また、死亡保険金以外で所得税の対象になるケースとしては、過剰な金額の見舞金を受け取ったときがあげられます。

見舞金はあくまでも社会通念上の範囲でしか認められていないため、金額が大きすぎると課税される可能性があります。

ただし、加害者の対応が不誠実で、慰謝料が増額されたときには課税対象となりません。

3.商品が被害を受けたとき
さらに、交通事故によって車に積んでいた商品が壊れて使い物にならなくなってしまったときには、損害賠償として請求できます。

しかし、損害を受けた商品は市場での取引によって代金を得るものであったという前提があるので収入と見なされるため、課税対象となる点に注意が必要です。

相続税がかかるケース

死亡保険金で相続税が課せられるのは、被保険者と保険料の負担者が同一人物のときです。たとえば、交通事故で夫を失い、妻が夫の保険料を支払っていた自動車保険金を受けとる場合などが該当します。

保険金を一括で受け取るときには相続税が課せられますが、年金の形で受け取るときは所得税が課せられます。

その場合は、支給1年目は非課税扱いとなり、2年目以降から課税されます。

相続税は遺産が基礎控除額を上回るときに課税されるもので、申告と納税が必要です。

基礎控除額として認められている範囲は、相続が開始したタイミングによって分かれます。

贈与税がかかるケース

贈与税が課せられるのは、被保険者・保険料の負担者・保険金の受取人がすべて異なる場合です。

死亡保険金を年金として受け取るときには支給1年目は非課税、2年目以降は課税となり、所得税が課されます。

贈与税は1年間にもらった財産の合計から、基礎控除額として認められている110万円を差し引いた額が課税対象となります。

そのため、受け取った財産が110万円以下であれば贈与税は発生しません。

示談金のなかには課税されるものもある

被害に対する補償として受け取る慰謝料は、あくまでも示談金の一部です。

示談金は交通事故で負ったすべての損害を金額に換算したものを指すので、慰謝料=示談金ではない点を押さえておきましょう。

示談金に含まれるものとしては慰謝料のほかに、治療費・通院交通費・入院雑費・休業損害などがあげられます。

このなかで気をつけておきたいものは治療費であり、税務上は医療費を補てんするためのものだと見なされます。

そのため、確定申告で医療費控除を受けるときには、支払った医療費の合計額から治療費を差し引く点に注意が必要です。

また、示談金のなかでも、本来であれば被害者自身が経費として計上すべきだったものは収入として見なされ課税対象となります。

たとえば、商品として販売しようとしていた物が壊れて、補償を受けた場合などです。

ただし、社会通念上で認められている範囲を超えていない金額であれば、ほとんどのものは非課税となります。

ちなみに、示談金には消費税を上乗せして請求できません。

加害者側にどのような項目の損害賠償が請求できるかを踏まえたうえで、納得できる補償を受けましょう。

税金の処理は適切に!困ったら弁護士に相談しよう

交通事故の慰謝料は原則として、税金がかかりません。

しかし、他の示談金では課税されるケースもあるので注意が必要です。

また、実際に課税される場合には所得税・相続税・贈与税などに分かれるため、どの税金にあてはまるのかを判断するのは難しい面もあります。

納税の必要があるものをそのままにしておくと、後から税務上のペナルティを受けてしまう恐れもあるため、不安を感じるときには早めに税理士や弁護士に相談しましょう。

交通事故事案に詳しい弁護士であれば、税金だけでなく示談交渉や慰謝料金額などについての専門的なアドバイスを受けられるので、示談金にまつわる悩みを解決できるはずです。

また、弁護士に依頼をすれば弁護士基準で慰謝料を請求できるため、増額する可能性もあります。

弁護士費用特約を利用すれば、報酬の支払いを気にすることなく弁護士に相談できるので、加入している保険会社に確認してみましょう。

まとめ

慰謝料や見舞金などは、交通事故の被害によって受けた精神的な苦痛を補てんするものであるため、原則として課税されません。

ただ、加害者側に請求できる損害賠償の項目は多岐にわたるため、場合によっては課税対象となるものもあります。

示談金に関することで悩んでしまう前に、交通事故事案に精通した弁護士に相談してみるのも1つの方法です。

きちんとした補償を受けられるようにサポートしてもらえるので、心強い味方になってくれます。

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