2020.5.7 更新

交通事故の治療する上でのポイントと注意点とは?通常のケガ治療との違いについて

「交通事故でケガはどれくらいで治る?」
「通常の治療と異なる点は?」

ケガの影響で仕事を休んだり、生活に支障をきたす事態に陥った方であれば、ケガの程度や治療期間はあらかじめ知りたいところです。

しかも交通事故に限っていえば、治療期間の長さで損害賠償(特に慰謝料)が大きく変わってきます。

そのため、加害者側の保険会社から治療費の打ち切りを宣告されるなど、治療期間をめぐってトラブルが起きる可能性もあります。

こうしたトラブルを避けるためにも、交通事故の治療手順については正しく知っておきましょう

そこでこの記事では、
・交通事故によるケガの種類や治療期間
・治療時のポイント
についてご紹介します。

交通事故でよくある症例と治療期間の目安

症状ごとの治療期間とDKM136

交通事故で負ったケガの治療期間には個人差があるものの、症状ごとにおおまかな目安があります。

よく見られる症状としては、打撲・むちうち・骨折・視聴覚の機能低下などがあげられます。

症状ごとの特徴と治療期間については、以下の通りです。

症状の種類 特徴 治療期間の目安
打撲 体の一部に外部から強い衝撃が加わることで引き起こされる。関節・筋肉・神経の損傷が大きいほど、腫れや痛みが長く続く。入院は基本的に不要。 1~2ヶ月
むちうち 交通事故で発症しやすい負傷の1つ。神経症状を伴うことによって、首や肩の痛み・しびれ・頭痛・めまいなどが起こる。他覚症状がないため、把握しづらい。 3~6ヶ月
骨折 開放骨折・関節内骨折・圧迫骨折など、骨の折れ方もさまざまある。入院が必要となるケースも多く、リハビリも行わなければならない。その分治療期間も長くなる傾向にある。 6ヶ月
視聴覚の機能低下 目や耳そのもののケガだけでなく、脳の損傷なども含まれる。視力障害・聴覚障害といった後遺症が残ってしまう可能性もある。 6~12ヶ月

また、保険会社が治療期間の目安として判断している基準として、DMK136というものがあります。

これはD=打撲、M=むちうち、K=骨折を表しており、それぞれの治療期間を1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月とするものです。

DMK136の基準を超えてくると、保険会社は被害者に対して治療の打ち切りなどを迫ってくる可能性があります。

もちろん、治療期間は個人差があるので、この基準が必ずしも正しいわけではありません。不要なトラブルを避けるためにも、治療期間が長引いてしまったら、その必要性を証明しておく必要があります。

面倒かもしれませんが、医師に相談してしっかりとカルテに記載してもらうなど対策をしておくに越したことはないでしょう。

むちうちは治療期間が長期化するケースも

むちうちは交通事故のケガの中でも多いもので、外部から強い衝撃を受けることによって引き起こされます。首や肩の痛み・しびれ・頭痛・めまいなどの症状が起こるもので、事故後しばらく経ってから症状が出てくるケースもあるのです。

また、むちうちというのは正式名称ではないため、全体の70~80%程度は頸椎捻挫(けいついねんざ)や頸部挫傷(けいぶざしょう)と診断され、ほかにもバレー・ルー症候群や神経根損傷などと診断されます。

DMK136の基準では「むちうちの治療期間は3ヶ月」とされていますが、実際はそうとは限らないのです。

それぞれの症状ごとの特徴と治療期間の目安については、以下の表の通りです。

症状の種類 特徴 治療期間の目安
頸椎捻挫・頸部挫傷 首の筋肉・じん帯・関節包を損傷するのが頸椎捻挫。頸椎付近の筋肉を損傷したときには頸部挫傷となる。首を動かすと痛みを感じたり、可動域が狭くなったりする。首だけでなく、肩や背中に凝りを感じることもある。 3ヶ月
バレー・ルー症候群 交感神経あるいは副交感神経に損傷を受け、自律神経に障害が出ている状態を指す。不眠や倦怠感、めまいや耳鳴りといった症状が出るのが特徴。 3~6ヶ月
神経根損傷 事故の影響によって首に腫れが生じ、脊髄にある神経根が圧迫されることで引き起こされる。しびれや知覚障害、反射異常などの症状が見られる。神経根症状誘発テスト(スパーリングテスト・ジャクソンテストなど)で診断できる。 3~6ヶ月

むちうちはDMK136を根拠に、3ヶ月を経過すると保険会社などから「すでに完治している」と誤解され、治療費を打ち切られる可能性があります。

とは言え、上表のとおり治療が長引くケースは十分にありますので、症状の具合を見ながら、医師と相談することが重要です。

ケガの治療に取り組むときの注意点

交通事故によって身体に違和感を感じるようであれば、すぐに医師による診断を受ける必要があります。

事故直後に見られなかった症状が、数日経って表れるケースはよくあることです。

しかし、一定期間を過ぎてしまうと事故との因果関係が認められず、適切な補償が受けられない可能性もあります。

ケガの悪化を防ぐためはもちろん、しかるべき補償を受け取るためにも、医師による診断を確実に受けることが大切なのです。

まずは整形外科を受診

交通事故の被害にあってしまったときには、まずは整形外科を受診しましょう。

整骨院や接骨院でも保険を利用して治療を受けることはできますが、整骨院は病院ではありません。

そのため、施術の必要性や有効性が疑われやすく、保険会社などから治療費は認められない可能性があります。

ただし、整形外科は診療時間が限定されており、混雑することもあるので通院しづらいと感じる場面もあるものです。

そのようなときには、担当医師に相談をしたうえで、整骨院・接骨院、鍼灸院などに通いましょう。

整骨院・接骨院・鍼灸院での治療であっても、自賠責保険を使えるので負担の軽減にもつながります。

症状によっては、病院以外で治療を受けたほうが症状改善につながることもあるので、治療の幅を広げたいときには利用を考えてみましょう。

病院を変更したいときには?

確実な治療を受けるためには、担当医師とのやりとりが欠かせません。

ただし、場合によってはコミュニケーションが取りづらかったり、治療の進め方に納得できなかったりすることもあります。

治療先は患者が決められるものなので、治療内容に満足できないときには病院を変えることができます。

転院をするときには担当医師に紹介状を書いてもらい、治療行為に一貫性と継続性を持たせることが大切です。

なぜなら治療期間や通院頻度は、慰謝料の請求にも影響を与えるからです。医師を変えても一貫した治療を続けることで証明になりますので、無断で医師を変えるのは避けたいところです。

また、後からトラブルになってしまうのを防ぐためにも、転院をする際には保険会社にも連絡をしておきましょう。

後遺症が残ったときの対応と具体的な症状

ケガの治療を続けても完治せずに、後遺症が残ってしまうケースもあります。

交通事故の後遺症として見られる主なものは、以下の通りです。

後遺症の種類 特徴
むちうち 頸椎や頸部に損傷を受けることで発症する。首や肩の痛みやしびれ、頭痛・耳鳴り・めまい・吐き気などの症状が見られる。事故状況や被害者の年齢、体質などによって個人差がある。
脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群) 脳髄液が漏れ出すことによって脳の位置が下がってしまい、さまざまな症状を引き起こす。頭痛・めまい・耳鳴り・倦怠感・視覚機能障害など。
高次脳機能障害 脳が損傷を受けることによって、認知機能に障害が出る。言語・思考・記憶・注意力といった機能が低下し、行動や精神に異常が生じてしまう。「性格が変わった」「身勝手になった」などの症状が見られる。
外貌醜状 顔や頭、首元など人目につく部分に傷跡や組織の陥没が起こる。等級認定の基準に男女差はない。
上肢(下肢)機能障害 上肢は腕の部分であり、下肢は脚の部分を指す。上肢・下肢の一部や全部がなくなる欠損障害や関節の機能障害、形が変わってしまう変形障害などが見られる。
遷延性意識障害 いわゆる植物状態であり、自力では生活が困難であり、常に介護が必要となる。後遺症の中でも重いものであり、介護を行う家族にも多大な負担や苦痛が伴う。
精神障害(うつ病・PTSD) 交通事故による精神的なダメージによって、うつ病やPTSDが引き起こされることがある。脳そのものには損傷がないため、高次脳機能障害などとは区別される。抑うつ・不安・意欲低下・幻覚や妄想・知的能力の障害などの症状が見られる。
疼痛性感覚異常(CRPS・RSD) 疼痛(とうつう)は直接的な痛み・しびれの他にも、倦怠感や焼けるような感覚など本人にとって不快となる症状全般を指す。CRPSは複合性局所疼痛症候群のことであり、発症する部位は手足が多い。

完治しないときには医師から症状固定(治療を継続しても症状の改善が見られない状態)の診断を受けてから、後遺障害の等級認定を申請しましょう。

等級認定を受けることで、慰謝料などの損害賠償額も高くなる可能性があります。

手続きの方法としては、担当医師に後遺障害診断書を作成してもらい、レントゲンやMRIなどの検査データを準備します。

申請のやり方は保険会社を通じて行う事前認定と、自ら申請を行う被害者請求があります。

被害者請求は手続きに時間がかかってしまうものの、納得できる結果を得やすい方法です。

申請書類を損害保険料率算出機構に提出すると、1~2ヶ月程度で結果が送られてきます。

治療期間は示談交渉にも影響する!損害賠償額が変わる理由

治療期間の長さは、慰謝料などの損害賠償請求にも大きな影響を与えます。

そのため、きちんと診断や治療を受けていないと交通事故とケガの因果関係が証明できずに、入通院慰謝料や後遺障害慰謝料も低くなる可能性があります。

入通院慰謝料は、ケガによって日常生活に支障が出ることによる精神的な苦痛に対する損害賠償です。

金額の計算には、自賠責保険基準・任意保険基準・弁護士基準のいずれかが用いられます

この3つの基準の中では弁護士基準が最も高く、保険会社が提示してくる任意保険基準は自賠責保険基準とあまり変わらない場合も多いです。

1ヶ月を30日とした場合に、それぞれの基準における入通院慰謝料は、むちうちの場合では以下のようになります(通院の場合)。

自賠責保険基準 任意保険基準 弁護士基準(裁判基準)
1ヶ月 12万3,000円 12万6,000円 19万円
3ヶ月 37万8,000円 37万8,000円 53万円
6ヶ月 75万6,000円 64万3,000円 89万円

※自賠責基準では単に治療期間だけで考えるわけではなく、「4,200円×入通院期間(ケガをしてから症状固定となるまでの日数)」もしくは「4,200円×実際に入通院した日数×2」のどちらか低いほうの金額が適用されます。2020年3月までは日額4,200円となるので、交通事故にあった日付によって異なります。※任意保険基準は推定 ※弁護士基準は日弁連発行の通称「赤い本」参照

保険会社とのやりとりには注意も必要

ケガの治療を続けていると、相手方の保険会社から治療の打ち切りや症状固定を勧められることがあります。

治療が終わらなければ損害賠償額を決められないため、保険会社としてはDMK136を根拠として治療の打ち切りを迫ってくるのです。

治療期間によって保険会社が支払う金額も大きく変わるので、場合によっては圧力をかけられてしまうこともあるでしょう。

しかし、どれくらいの治療期間が適切かの判断は医師が行うものなので、安易に保険会社の申し出を受ける必要はありません。

治療の継続が必要であることを診断書に書いてもらい、保険会社の言いなりになってしまわないように注意しましょう。

治療時のトラブルは弁護士に相談しよう

ケガの治療期間は、慰謝料などの損害賠償請求にも影響してしまうため、保険会社との間で何かとトラブルになってしまいやすいものです。

被害者ひとりで組織である保険会社や加害者と争うのは大変であり、不安も抱えてしまいやすいものです。

治療の支払いを巡るトラブルなど、保険会社とのやりとりが難しいと感じたときには、交通事故事案に詳しい弁護士に相談をしてみましょう。

弁護士に相談をすることで弁護士基準が適用され、請求できる慰謝料が増える可能性もあります。

まとめ

交通事故の被害者となってしまうと、ケガの治療と並行して保険会社とのやりとりも行う必要があります。

ケガが完治せずに後遺症が残ってしまった場合には、後遺障害の等級認定手続きも必要になるため、負担に感じてしまうこともあるでしょう。

納得できる慰謝料を加害者側に請求するためにも、悩んでしまう前に弁護士に相談するのも1つの方法です。

交通事故事案に詳しい弁護士であれば、適切なアドバイスを受けられて、時間的・精神的な負担を減らせるはずです。

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