2020.5.21 更新

慰謝料額に違いはある?バイク事故にあったときの損害賠償請求

「バイクに接触してケガをした。慰謝料は請求できるの?」

交通事故の慰謝料は、車による事故でもバイクの事故でも、違いはありません。

なぜなら、慰謝料は治療期間や頻度によって変動するものだからです。

ただし、バイク事故は加害者が任意保険に入っていないケースも多く、車の事故と比べて充分な補償が受けられない可能性もあります

また、任意保険に入っていないことが原因でさまざまなトラブルを招く可能性もあります。

この記事では、バイク事故による慰謝料だけでなく、バイク事故ならではのトラブルと対処法についてもお話ししていきます。

車もバイクも請求する慰謝料額に違いはない

交通事故における慰謝料は、事故の被害によって受けた精神的なダメージに対する損害賠償を指します。

民法第710条
他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

そのため、事故の状況やケガの大きさによって違いはあっても、車かバイクかという点で請求できる慰謝料額に違いはありません。

また、慰謝料は年齢や性別、職業などによって金額が異なるわけでもありません。
※ただし、休業損害や逸失利益(将来得るはずだった収入)などは、年齢や職業などによって請求できる金額に違いもあります。

ただし、以下のようなケースでは慰謝料請求できない可能性があるので注意しましょう。
・被害者にケガのない、物損事故のみ
・事故から5年以上経過している

バイク事故における慰謝料の金額

慰謝料の計算では、自賠責保険基準・任意保険基準・弁護士基準(裁判基準)のいずれかを用います。

自賠責保険基準
事故の被害に対する最低限の補償を目的としているため、3つの基準の中では一番低い基準。

任意保険基準
保険会社によって異なるものの、自賠責保険基準に沿った補償となっているので、それほど高くはありません。

弁護士基準(裁判基準)
弁護士に示談交渉を依頼したときに請求する基準。過去の裁判での判決をもとに基準かされていて、3つの基準の中では、高額になりやすい

では、慰謝料はどれくらいになるか、以下で解説していきましょう。

入通院慰謝料の目安

入通院慰謝料とは、ケガの治療のために入院や通院をした場合に支払われるものです。

入通院をした期間や回数をもとに計算されるため、治療期間が長いほど慰謝料額も高くなる傾向にあります。

入通院慰謝料における、3基準(自賠責保険・任意保険・弁護士)それぞれの慰謝料の目安は、以下のとおりです。

■通院期間と慰謝料金額(入院は含まない、ひと月は30日間として計算)

通院期間 自賠責保険基準 弁護士基準(裁判基準)
通院1ヶ月 12.9万円 19万円
通院3ヶ月 25.8万円 36万円
通院6ヶ月 38.7万円 53万円

※自賠責保険基準は、ひと月に15回以上通院し、日額4,300円で計算(2020年4月1日以前は日額4,200円)
※任意保険基準は保険会社ごとに異なるため掲載していません。
※弁護士基準(裁判基準)は、日弁連交通事故相談センター 東京支部『損害賠償額算定基準(2020年版)』(通称・赤い本・むちうちなど他覚症状のない場合)を参考。

ここでは任意保険基準は掲載していませんが、任意保険は自賠責保険ではカバーできない損害賠償を目的としています。

そのため、自賠責保険より高くなる傾向にはありますが、大きく異なることはありません。

比べてみると、弁護士基準(裁判基準)は他の基準と比べて高いのがわかります。

後遺障害慰謝料の目安

後遺障害慰謝料とは、ケガの治療を行っても完治せずに後遺症が残ってしまったときに、入通院慰謝料とは別に請求できるものです。

ただ、後遺障害慰謝料が請求できるのは、後遺障害の等級認定を受けた場合のみとなっています。

等級は1~14級まで分かれており、慰謝料額もそれぞれ異なります。

交通事故で多く見られるむちうちの場合、14級もしくは12級となるケースが多いので、3つの基準で比較してみましょう。

等級 自賠責保険基準 弁護士基準(裁判基準)
第14級 32万円 110万円
第12級 94万円 290万円

※参考:自賠責保険基準と弁護士基準は、日弁連交通事故相談センター 東京支部『損害賠償額算定基準(2020年版)』(通称・赤い本)
※任意保険基準は保険会社ごとに異なるため掲載していません。
※身体の他部位に後遺症が見られた場合などは、さらに慰謝料額が高くなる可能性もあります。

比べてみると、弁護士基準(裁判基準)では自賠責保険基準の2倍以上になります。

死亡慰謝料の計算方法

死亡慰謝料は被害者本人に代わって、遺族が慰謝料の請求を行います。

被害者本人の慰謝料だけではなく、遺族固有の慰謝料についても認められているのが特徴です。

ただ、遺族固有の慰謝料が請求できるのは、父母・配偶者・子どもに限られています。

3つの基準に照らし合わせて死亡慰謝料を比較すると、以下の表のようになります。

被害者本人の属性 自賠責保険基準 弁護士基準(裁判基準)
一家の支柱 400万円 2,800万円
配偶者・父母 400万円 2,500万円
子ども・高齢者 400万円 2,000~2,500万円

※参考:自賠責保険基準と弁護士基準は、日弁連交通事故相談センター 東京支部『損害賠償額算定基準(2020年版)』(通称・赤い本)

補足として自賠責保険基準では、亡くなった被害者本人の属性にかかわらず、一律400万円とされています。
被扶養者の有無や慰謝料の請求権者(遺族固有の慰謝料を請求できる権利のある人)の人数によって、金額が加算されます。

いずれにせよ、基本的には3つの基準の中でも弁護士基準(裁判基準)が最も高いと言えます。

バイクは車よりも任意保険加入率が低い

慰謝料は、原則としてバイクだからといって金額が変わるわけではありません。
しかし、バイク事故には気をつけたいポイントがあります。

それはバイク保有者は、車保有者よりも、任意保険の加入率が低い点です。

(参考)
車(自動四輪)保有者の任意保険加入率:約74%
バイク(自動二輪)保有者の任意保険加入率:約42%
※損害保険料算出機構「第18表 任意自動車保険 用途・車種別普及率表<2017年3月>」より

慰謝料の算出については、自賠責保険基準でも任意保険基準でも大きく変わりません。

しかし、自賠責保険は「慰謝料や治療費含めた損害賠償が120万円まで」と上限が定められています(傷害の場合のみ、死亡、後遺障害3,000万円<要介護は4,000万円>まで)。

また自賠責保険は、人身事故の対人賠償のみで、任意保険は対人賠償、対物賠償も対象になります。

したがって、自賠責保険しか加入していないバイク事故の場合、慰謝料を含めた損害賠償が少なくなる可能性が高いといえます。

任意保険の加入率は車の場合は70%以上であるのに対して、バイクでは40%程度と低い水準になっています。

適切な補償を受けるためにも、判例をもとにした弁護士基準(裁判基準)で慰謝料を算出してもらうことも検討してみましょう。

バイク事故での慰謝料を請求するときのポイント

加害者に対して慰謝料を請求するときには、ケガが完治もしくは症状固定(治療を継続しても完治しない状態)になってから取り組みましょう。

なぜなら、治療期間の長さが慰謝料額に影響するからです。

加害者側の保険会社は治療の打ち切りを迫って、支払額を抑えようとしてくるケースもあります。

しかし、充分な補償を受けるためには、医師の指示に従って治療を継続することが重要です。

実際にどれくらいの慰謝料を請求できるかは示談交渉次第でもあるので、交通事故事案に詳しい弁護士に相談をしてみましょう。

弁護士のサポートを受けることで、慰謝料が増額するだけでなく、他の損害賠償請求についても適切なアドバイスを受けられます。

また、自分が加入する任意保険に弁護士費用特約が付いていれば、弁護士費用を気にせずに相談できます。

まとめ

車の事故でもバイク事故でも、加害者側に請求できる慰謝料額に違いはありません。

ただ、慰謝料の請求には治療期間や算定基準が関係してくるので、どういった形で請求するかはきちんと検討する必要があります。

事故に対する充分な補償を受けるためには、弁護士基準(裁判基準)で請求することがポイントです。

交通事故事案に詳しい弁護士に相談して、適切なサポートを受けながら慰謝料を請求してみましょう。

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