2020.6.11 更新

交通事故の加害者が無保険だとどうなる?慰謝料の請求と対処法

事故の相手が無保険だった…。慰謝料はきちんと支払われる?

交通事故で被害者が受け取る慰謝料は、ケガの大きさにもよっては何十万、何百万円に及ぶこともあります。

そのため、加害者が保険に加入していなければ、きちんと慰謝料が支払われるか不安になりますよね。

また、無保険であるため保険会社と交渉ができず、示談交渉がうまく進まなかったり加害者と連絡が取れなくなってしまったりするケースもあります。

この記事では、無保険の自動車との交通事故で被害にあわれた方に、慰謝料の請求に与える影響や対処法について詳しく解説していきます。

無保険とは?任意保険と自賠責保険の違い

交通事故の加害者が無保険であったときは、まずは自動車保険の仕組みを把握しておく必要があります。

自動車保険は、自賠責保険と任意保険の2種類があります。

自賠責保険
自動車損害賠償法(自賠法)にもとづくもので、自動車やバイクなどを所有している人は全員が加入を義務付けられています。
自賠責保険に加入をしないまま運転をすれば、1年以下の懲役または50万円以下の罰金となっているため、強制力のある保険なのです。

任意保険
民間の保険会社が提供している保険で、加入は自由となっています。
損害保険料率算出機構の2018年度「自動車保険の概況」によれば、任意保険の加入割合は74%程度です。

したがって、加害者から「保険に加入していない」と告げられても、自賠責保険には加入しているケースが多くあります。加害者が任意保険に未加入の状態であれば、被害者は自賠責保険に請求する形となります。

ただし、自賠責保険と任意保険とでは、補償範囲や補償内容に違いがあります。

任意保険では契約内容によっても異なりますが、人的損害だけではなく物的損害に対する補償も行ってもらえます。

対人補償については、補償額が無制限となっている保険商品も多いのが特徴です。

一方で、自賠責保険では交通事故被害に対する最低限度の補償を目的としているため、人的損害のみの補償となっています。

加害者が任意保険に未加入の場合は、被害者自身が加入する任意保険もしくは政府保障事業を活用するといった対応が必要になります。

■自賠責保険と任意保険の違い

自賠責保険 任意保険
加入条件 すべての車が強制的に加入 加入するかどうかは自由
補償内容 対人賠償のみ 対人賠償、対物賠償、所有者への補償など
示談交渉 原則、不可能 可能

慰謝料額に影響はある?任意保険未加入だったときのトラブルと対処法

慰謝料は被害の大きさ(通院期間・通院回数など)によって決められ、自賠責保険、任意保険それぞれ基準や相場が設定されています。

自賠責保険基準と任意保険基準での慰謝料を比較

自賠責保険と任意保険の慰謝料を比較すると、以下のようになります。

通院期間 自賠責保険基準 任意保険基準
1ヶ月 8.6万円 12.6万円
3ヶ月 25.8万円 37.8万円
6ヶ月 51.6万円 64.2万円

※通院のみとし、入院は含まない
※自賠責保険基準はひと月に10回通院したとする
※任意保険基準は推定

自賠責保険基準は、交通事故の被害者に対して最低限の補償を目的としています。

任意保険は自賠責保険を補完する性質もあり、慰謝料の基準も自賠責保険基準に沿ったものとなっています。

したがって交通事故の加害者が任意保険に未加入であったとしても、慰謝料額が1/2になるなど大幅に影響するわけではありません

ただし、自賠責保険では補償額に上限が設けられているので注意も必要です。

被害の程度 補償額の上限
傷害による損害 120万円
後遺障害 75~3,000万円(等級ごとに異なる)
・常時介護が必要 4,000万円(第1級)
・随時介護が必要 3,000万円(第2級)
死亡 3,000万円

この上限額は、慰謝料だけでなく治療費や休業損害など、損害賠償の総額です。

加害者との間で起こりがちなトラブル

慰謝料や損害賠償のほかに、事故の相手が任意保険に加入していないときに注意したいのが、加害者本人と示談交渉をする可能性が高いことです。

加害者が任意保険に入っていないケースでは、示談交渉が思うように進まないこともめずらしくありません。

当事者同士の話し合いが円滑に進めばいいですが、実際にはトラブルになってしまうことも多いでしょう。

物損事故の場合では刑事罰が適用されないため、被害者が慰謝料の支払いを請求しても、連絡を無視されてしまうといったケースもあります。

また、加害者が話し合いに応じたとしても、慰謝料などの損害賠償額の計算を自分で行わなければならないため大変です。

加害者との間で金額について揉めやすく、精神的・時間的にも負担を感じてしまいます。

さらに、後遺障害認定の手続きにも影響が出てしまいます。

加害者が任意保険に加入していれば事前認定を行い、保険会社に対応を任せることができます。

しかし、未加入者の場合には被害者自身が自賠責保険に直接請求(被害者請求)を行う必要があり、慣れない手続きに負担を感じてしまいやすくなります。

トラブルへの対処法とポイント

任意保険に未加入の加害者と示談交渉を行うときには、以下の方法があげられます。

・内容証明郵便を送る
・自賠責保険に被害者請求を行う
・示談書を公正証書として作成する
・裁判を起こす

内容証明郵便を送る
加害者となかなか連絡がつながらない場合には、相手方の住所宛てに内容証明郵便を送って、支払いに応じるように促す方法があります。

後から裁判を起こす際の証拠にもなるので、話し合いが進まないときには検討をしてみましょう。

自賠責保険に被害者請求を行う
人身事故の場合であれば、加害者が加入する自賠責保険を使って、一定の補償を受けられます。

ただ、自賠責保険は補償の上限額が決められており、物損事故の場合には請求そのものが行えないため注意も必要です。

示談書を公正証書として作成する
加害者との間で示談が成立したときには、口約束で済ませずに公証役場に出向き、示談書を公正証書として作成してもらいましょう。

第三者に立ち会ってもらうことで、相手方に誠実な対応をしてもらえるように促すことが重要です。

裁判を起こす
加害者が損害賠償金の支払いに応じてくれないときには、最終的に裁判を起こすことも検討する必要があります。

ただ、裁判で判決を得るまでにはそれなりに時間がかかり、証拠書類なども準備しなければならないので手間もかかると言えます。

相手が自賠責保険にすら入っていなかった場合にとるべき2つの手段

加害者が任意保険だけでなく、自賠責保険にすら加入していなかったときには、どのように対応すればいいのか悩んでしまうものです。

被害者としてとれる手段は、
・自分が加入している任意保険会社から補償を受ける
・政府保障事業を活用する
といった2つの方法があります。

人身傷害補償保険や搭乗者傷害補償保険に入っていれば、示談交渉を待たずに補償が受けられます。

人身傷害補償保険では被害者本人と家族、搭乗者傷害補償保険では契約中の車に乗っていた全員を対象として保険金が支払われます。

また、政府保障事業は加害者が自賠責保険に加入していない場合やひき逃げなどの場合に、政府から補償(てん補金)を受けられる制度です。

損害保険会社の窓口で申請書類をもらえるので、必要事項を記入して提出しましょう。

申請にもとづいて、損害保険料率算定機構で事故の調査が行われ、被害状況に応じて補償が受けられます。

無保険者との事故はトラブルになりやすいので悩む前に弁護士に相談!

事故の加害者が任意保険に入っていなかったり、自賠責保険すら加入していなかったりするケースでは、慰謝料などの支払いを巡ってトラブルになりやすいと言えます。

相手が任意保険・自賠責保険に未加入で起きやすいトラブル
・自賠責保険基準での慰謝料は、あくまで最低限の補償
・自賠責保険には上限がある
・示談交渉を加害者本人と行う必要がある
・自賠責保険すら加入していないときは加害者から「払えない」と言われる可能性も

また、慰謝料額を被害者自身が計算しなければならないため、事務的な面での負担も大きくなりがちです。

このようなトラブルを避ける方法として、交通事故示談に明るい弁護士に依頼する、という方法があります。

弁護士に依頼をすることで、慰謝料などの請求も弁護士基準(裁判基準)が適用されるので、増額する可能性もあります。

損害賠償請求では専門的な知識も必要となるので、弁護士のサポートを受けることで安心して示談交渉に臨めるはずです。

自分が加入する保険に弁護士費用特約が付いていれば、報酬の支払いも気にせずに利用できます。

当事者同士のトラブルを回避するためにも、弁護士に早めに相談をしてみましょう。

まとめ

交通事故で被害にあったときには、慰謝料などの損害賠償を加害者に対して行えます。

しかし、相手が無保険の状態であれば、示談交渉でも揉めやすくなってしまうので注意が必要です。

被害者自身が加入する保険を利用したり、政府保障事業を活用したりして、対処していくことも大切だと言えます。

ただ、自分1人で解決しようとすれば加害者との間でトラブルに発展してしまうこともあるので、交通事故事案に詳しい弁護士に相談をしてみましょう。

弁護士のサポートを受けることで、加害者との示談交渉を任せられるので、早期解決に結びつけられます。

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