2020.7.2 更新

交通事故のケガで8ヶ月通院したが治らない…慰謝料の金額と後遺障害への対処

交通事故によってケガで入院・通院治療が必要になると、被害者は加害者に対して、慰謝料を請求できます。

通院治療が8ヶ月も続くほど重症であれば、慰謝料が100万円を超えるケースも決して珍しくありません。

一方で「8ヶ月通院を続けても治らない」ようなケースでは、後遺障害の認定手続きも考えておきたいところです。

この記事では、交通事故で長期間の治療生活を余儀なくされた方に向けて、慰謝料などの損害賠償や後遺障害の等級認定などについて、お話ししていきます

交通事故で8ヶ月通院したときの慰謝料は?

通院期間が8ヶ月(入院0~3ヶ月)の慰謝料額は、以下の表のようになります。

入通院期間 自賠責保険基準 任意保険基準 弁護士基準(裁判基準)
通院8ヶ月 67.2万円 76.9万円 132万円(103万円)
通院8ヶ月+入院1ヶ月 92.4万円 94.5万円 164万円(125万円)
通院8ヶ月+入院2ヶ月 117.6万円 112.1万円 194万円(143万円)

※通院回数はひと月に10回として計算
※事故日が2020年3月31日以前の基準をもとに算出
※骨折など他覚症状がある重症とする
※弁護士基準の( )内はむちうちなど他覚症状のない場合の金額

表の通り、交通事故の慰謝料は、「誰に計算を依頼するか?」によって3つの基準が存在します。

交通事故における慰謝料は、事故によって受けた精神的なダメージに対する賠償のため、年齢・職業・性別などにかかわらず請求できます。

■自賠責保険基準
・自賠責保険は自動車やバイクを運転する人が必ず入らなければならない保険
・交通事故の被害に対して最低限度の補償を目的としている
・自動車損害賠償保障法(自賠法)を根拠としている
・傷害による損害の上限額が120万円までに設定されている
・慰謝料は1日あたり4,200円(2020年4月1日以降の事故では4,300円)をベースに、治療期間や実通院日数などをもとに計算される

■任意保険基準
・一般的な自動車保険のことを指す
・慰謝料は保険会社によって支払額が異なる
・金額は保険会社や保険の種類によって違ってくるが、自賠責保険基準と同等か、それを少し上回る程度

■弁護士基準(裁判基準)
・弁護士に依頼をすることで適用される基準
過去の裁判での判決をもとに基準化したもの
・3つの基準の中では最も高い
・日弁連交通事故相談センターが発行する「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(赤い本)」「交通事故損害額算定基準(青い本)」に掲載されている

慰謝料の金額を決定づけるのは治療期間や頻度だけではありません。
算定基準の違いによって慰謝料額も2倍近くの違いが生じるケースもあります。

長い月日の治療を要する納得できる損害賠償請求を行うためにも、3つの基準による慰謝料額の違いをしっかりと押さえておきましょう。

ケガが完治しない場合の対処法は?後遺障害認定と逸失利益

交通事故から8ヶ月間治療を続けても完治せずに、
・神経症状(知覚障害、痛み、手足のしびれ、麻痺など)
・運動障害(関節が曲がりづらい、目や耳の機能が低下しているなど)
・機能障害(記憶、思考、理解、計算、学習、言語、判断などの知的な能力の喪失)
などが残ってしまったら、医師に相談して後遺障害認定手続きを検討しましょう。

後遺障害等級認定を受けることで、入通院慰謝料に加えて後遺障害慰謝料が請求できます

後遺障害慰謝料の金額は?

後遺障害は、症状の重さによって国土交通省の「自動車損害賠償保障法施行令別表」で定められた基準に沿って、1級~14級のいずれかに認定されます(介護を要する場合は1〜14級とは別に「要介護1級・2級」の等級もあり)。

慰謝料は等級ごとに異なり、以下のように基準化されています。

■後遺障害慰謝料の目安(かっこ内は「介護を要する後遺障害」)

等級 自賠責保険基準 任意保険基準 弁護士基準
第14級 32万円 40万円 110万円
第13級 57万円 60万円 180万円
第12級 94万円 100万円 290万円
第11級 136万円 150万円 420万円
第10級 190万円 200万円 550万円
第9級 249万円 300万円 690万円
第8級 331万円 400万円 830万円
第7級 419万円 500万円 1,000万円
第6級 512万円 600万円 1,180万円
第5級 618万円 750万円 1,400万円
第4級 737万円 900万円 1,670万円
第3級 861万円 1,100万円 1,990万円
第2級 998万円(1,203万円) 1,300万円 2,370万円
第1級 1,150万円(1,650万円) 1,600万円 2,800万円

※参考:自賠責保険基準と弁護士基準は、日弁連交通事故相談センター 東京支部「損害賠償額算定基準(2020年版)(通称・赤い本)」
※任意保険基準は保険会社ごとに異なるので、あくまで推定です
※身体の他部位に後遺症が見られた場合などは、さらに慰謝料額が高くなる可能性もあります

逆にいえば、後遺障害に認定されなければ、症状が残っても慰謝料が発生しない可能性もあるのです。

ですので、交通事故が原因で後遺症が残った場合は、医師と相談の上、後遺障害認定等級の申請を行いましょう。

後遺障害等級認定の手続き方法

後遺障害等級の認定手続きは、大まかには以下の通りです。

1.症状固定まで治療を続ける
後遺障害の申請は、「症状固定」後です。
症状固定のタイミングは医師と相談しながら決めましょう。

症状固定前に保険会社から治療費の支払いを打ち切られたら?

通常、交通事故被害者の治療費は、保険会社から支払われます。
ただし治療が長引くと、保険会社が治療費の打ち切りを宣告してくるケースがあります。
治療の有無の判断は、あくまでも医師が行うべきものであり、ここで治療をやめると、ケガが治ったと見なされる可能性があります。
たとえ保険会社から治療の打ち切りを伝えられても、後から治療費を請求できるので、継続して治療を受けましょう。

2.担当医に後遺障害診断書を書いてもらう
症状固定と診断されたら、担当医に「後遺障害診断書」の作成を依頼しましょう。
作成した申請書は、できれば弁護士などに確認してもらいましょう
なぜなら交通事故案件に強い弁護士は、後遺障害等級認定についても詳しく、認定に必要なポイントにも詳しいからです。

3.保険会社に診断書を提出する
作成した書類はしっかり確認をして、保険会社に提出します。
等級認定がなされるまでは、およそ1〜2ヶ月といわれています。

後遺障害認定されれば逸失利益も発生する

後遺障害認定を受ければ、加害者に対して逸失利益の請求も行えます

逸失利益とは、交通事故にあわなければ本来得られたはずの収入を指します。

事故によって死亡したり(死亡逸失利益)、後遺障害と認められたり(後遺障害逸失利益)した場合に請求可能です。

会社員などの就労者はもちろん、会社役員や自営業者、フリーランス・専業主婦(主夫)・学生・子どもも請求できます。

被害者の職業や年齢、後遺障害の程度などをもとに計算されます。

交通事故の治療が長引いたら…弁護士に相談することも選択肢

8ヶ月もの間、通院治療を続けると、慰謝料額も高額になりますし、後遺障害認定等級も検討する必要があります。

それだけに示談交渉や申請手続きなど、やるべきことも増えますし、誤解や手違いで、本来なら被害者が受け取るべき補償が受け取れない可能性もあります。

1人で対処するのが難しいと感じるときには、無理をせずに弁護士のサポートを受けることも検討してみましょう。

交通事故事案に詳しい弁護士であれば、過去の判例に基づいた弁護士基準での慰謝料交渉が可能です。

また、専門的な知識を必要とする後遺障害認定手続きもサポートしてもらえるので、実際の症状にあわせた補償が受けられます。

交通事故の損害賠償請求ではさまざまな手続きが必要になるため、多くの時間や労力がかかってしまうものです。

スムーズに示談交渉を進めるためにも、早めの相談を心がけてみましょう。

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