2020.8.5 更新

大学生が交通事故にあったときの慰謝料は?休学や留年、就活は補償される?

「もうすぐ就職なのに交通事故…。慰謝料はどうなる?」
「ケガのせいで単位取れず留年…。学費は慰謝料として請求できる?」

交通事故にあったときには、事故の加害者に対して慰謝料を請求できます。

また、慰謝料だけでなく、休業損害や逸失利益などの損害賠償も求めることが可能です。

とはいえ、休学や留年、就活の遅れや内定取消といった大学生の場合、どこまで補償されるのでしょうか?

休学や留年、就活の遅れや内定取消といった大学生特有の悩みを踏まえつつ、交通事故被害についてどのように対処すべきかを見ていきましょう。

損害賠償を請求するための条件や具体的な計算方法についても、詳しく解説していきます。

金額は変わらない!大学生が交通事故にあったときの慰謝料と発生条件

交通事故の慰謝料算出方法は会社員などと比べても、大学生だからといって変わりがあるわけではありません。

そもそも慰謝料とは、事故の被害にあってしまった精神的な苦痛に対する補償といった位置づけです。

そのため、年齢や職業といった被害者本人の属性にかかわらず、公平に支払われます。

原則として慰謝料額の違いは、事故状況やケガの治療期間の長さが影響を与えるものなのです。

交通事故による休学や留年、就活の遅れや内定取消に対する補償は「休業損害」という慰謝料とは別の項目で請求することになります。

ただし、事故に対する慰謝料が請求できるのは、人身事故の場合だけにかぎられます。

車にキズがついたというだけの物損事故では、被害者はそれほど大きな精神的ダメージを負っていないと判断されるため、慰謝料の請求ができません。

交通事故の被害にあってしまったときには、たとえ自覚症状がなかったとしても、必ず病院で診察を受けることが大切です。

医師による診察を受けてはじめて、事故と症状との因果関係が明らかになり、人身事故として取り扱われる点を押さえておきましょう。

計算方法で金額は大きく異なる!慰謝料額の相場と3つの基準

加害者側に請求できる慰謝料は、年齢や職業によっては違いがないものの、どの基準で計算するか?誰が計算するか?によって金額は大きく異なります。

自賠責保険基準・任意保険基準・弁護士基準(裁判基準)の3つがあり、それぞれの違いは以下の通りです。

自賠責保険基準
自動車やバイクの保有者が加入を強制されている保険であり、自動車損害賠償法(自賠法)を根拠としています。
交通事故の被害者に対して最低限の補償を目的としており、もっとも低い基準額になります。

任意保険基準
保険会社が独自で設定している基準であり、一般的な自動車保険のことを指します。
金額は保険会社によって異なりますが、多くの保険会社は旧任意保険基準を踏襲した金額であるため、自賠責保険基準と同等か、それを少し上回る程度です。

弁護士基準(裁判基準)
弁護士会が過去の裁判例をもとに発表している基準であり、主に弁護士に依頼したときや裁判になったときに採用される基準となります。
3つの基準のうちで、もっとも高い金額となりますが、過去の裁判例を参考にしているので問題ありません。

また、請求できる慰謝料にも3つの種類があります。

入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料があり、事故状況やケガの程度によって請求できる金額も違ってきます。

では実際に慰謝料はどれくらいになるのか?入通院慰謝料を例にお話ししていきましょう。

入通院慰謝料は治療期間や実際に通院・入院していた日数にもとづいて計算されます。

そのため治療期間が長く、通院・入院の日数が多いほど、請求できる入通院慰謝料は増えていきます。

通院期間 自賠責保険基準 任意保険基準 弁護士基準(裁判基準)
1ヶ月 8.4万円 12.6万円 19~28万円
3ヶ月 25.2万円 37.8万円 53~73万円
6ヶ月 50.4万円 64.3万円 89~116万円

※ひと月の通院回数は10回として算出
※任意保険基準は推定
※弁護士基準(裁判基準)は日弁連「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準2020年版」参照

3つの基準の中で、弁護士基準が圧倒的に高い算定基準になっています。

ここまで金額に開きがあると、弁護士基準は非現実的なようにも思えますが、れっきとした過去の裁判結果に基づいて基準化されたものでです。

一方で自賠責保険基準は、国が定めた最低限の補償ですし、任意保険基準も保険会社が独自に決めた金額です。

したがって、弁護士基準が加害者にとって理不尽な金額ではないのです。

大学生でも請求できる?休業損害が発生する条件と計算方法

休業損害とは、交通事故の影響によって仕事を休まなければならなくなったときに、減収分の補償を加害者側に求めるものです。

それぞれのケースによって、補償が認められる範囲も違ってくるため、ポイントを押さえておきましょう。

アルバイトをしていた場合

交通事故にあう前にアルバイトをしていたときには、休業損害が請求できます。

休業損害の計算方法は次の通りです。

休業損害=1日あたりの基礎収入額×休業日数

ただ、アルバイトの場合にはシフト制で働いているケースも多いので、休業日数を把握することが難しい場合もあります。

シフトが週ごとに変わって休業日数を把握しづらいときには、事故前の稼働時間をもとにして計算する方法を用います。

そして、休業損害は交通事故の加害者に対して請求しますが、損害額の根拠として勤務先に休業損害証明書を作成してもらいましょう。

休業した日付や休業期間中の給与の支払いの有無、金額などを正確に書いてもらうことが大切です。

一方で、事故にあう前にアルバイトなどをしておらず、無収入であるときには基本的に休業損害は認められていません。

しかし、就職活動のためにアルバイトを休んでいた場合では、休業損害が認められたケースもあるので確認してみることも大切です。

休学や留年をした場合

交通事故の影響によって、単に学校を休んでしまっただけでは、休業損害が支払われる可能性は少ないでしょう。

しかし、休学や留年をしなければならず、就職活動にも影響が出てしまった場合には休業損害を請求できる可能性もあります。

また、休学や留年をしたことで余分に発生した学費についても、事故状況や学校を休む必要性が認められれば、補償を受けられることもあるのです。

親元を離れて1人暮らしをしていたときには、家賃についても損害賠償が認められたケースもあります。

就職に遅れが生じた場合

事故にあう前に無収入であったとしても、すでに内定が出ており、就職先が決まっていることもあるでしょう。

ケガの治療によって就職が遅れてしまったときには、本来得られたはずの給与を得られなかったとして、休業損害を請求することが可能です。

就職予定日から症状固定日までの期間を内定先の給与水準をもとにして、休業損害を計算します。

また、内定が決まっていなかった場合であっても、交通事故によって留年をしてしまい、就職に遅れが出たことで休業損害を認められた判例もあります。

この場合は賃金センサスをもとにして、休業損害を計算するのが一般的です。

逸失利益とは?後遺障害が残ったときの損害賠償請求

逸失利益とは、交通事故の被害にあわなければ、将来得られたはずの収入のことを指します。

まだ就職をしていない大学生であっても、逸失利益の請求は可能です。

事故発生時に無収入であったとしても、逸失利益の計算では基礎収入額が0円となるわけではありません。

すでに内定を得ており、特定の職業に就くことが決まっていた場合には、その職業に応じた基礎収入額をベースとして逸失利益が計算されます。

ただ、そのためには後遺障害等級認定を受ける必要があります。

ケガの治療を続けても完治せずに後遺症が残ってしまった場合、後遺障害認定を受けることで症状に応じた等級が認められます。

申請のためには医師が作成する後遺障害診断書やレントゲン・MRIなどの検査データが必要です。

後遺障害の等級によって労働能力喪失率は決められており、事故の影響によって仕事にどの程度の支障が出ているのかが判断されます。

示談交渉での対応に困ったときは弁護士に相談しよう!

ここまで慰謝料だけでなく、休業損害、逸失利益など、大学生が交通事故の被害にあったときの損害賠償についてお話ししてきました。

交通事故の被害者は、さまざまな補償が受けられますが、最終的には加害者や保険会社との示談交渉によって決まります。

学生である被害者が1人で、加害者や保険会社とやりとりを進めると困難なシーンに遭遇することもあるでしょう。

交通事故の示談交渉においては、弁護士に相談をしてみるのも1つの方法です。

大学生の場合であっても、過去の判例から休業損害や逸失利益を請求することが可能です。

しかし、示談交渉の場面で相手方が認めるとは限らないため、交通事故事案に詳しい弁護士のサポートを受けることも大切だと言えます。

弁護士に依頼をする費用についても、「相談料無料」や「着手金なし」の成功報酬をベースとしている事務所もあります。

弁護士からのサポートを受けることで、弁護士基準(裁判基準)が適用されるため、慰謝料などの損害賠償金も増える可能性があるのです。

まとめ

交通事故の被害者となってしまった場合には、加害者側に慰謝料の請求が可能です。

そして、大学生であっても休業損害や逸失利益などの損害賠償を求めることもできます。

ただ、相手方の保険会社との示談交渉がスムーズに進んでいくとはかぎらないため、交通事故事案に詳しい弁護士への相談も1つの方法です。

休学や就活の遅れといった大学生が抱える悩みについても、専門的なアドバイスを受けられるはずです。

1人で悩んでしまう前に、早めに相談をしてみると良いでしょう。

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