2020.9.8 更新

自分に過失があると慰謝料はどうなる?交通事故の過失割合と基準

交通事故の被害者となったときに、自分にも過失がある場合には注意が必要です。

過失の割合に応じて、慰謝料などの損害賠償金が減ってしまう可能性もあります。

納得できる補償を行ってもらうためにも、保険会社から提示される金額が適切なものかを見極めることが重要です。

そのためにも、慰謝料の計算方法だけでなく、過失割合がどのような基準で決められるのかを把握しておきましょう。

過失割合の見直しや変更には保険会社との交渉が不可欠であるため、ポイントを押さえながら示談交渉を進めていくことが大切です。

交通事故における過失割合とその基準について、詳しく解説していきます。

過失割合とは?ケースによって慰謝料が減額される可能性も

過失割合とは、交通事故における責任の割合を指すものであり、事故の当事者双方に責任があるケースが多いと言えます。

加害者と被害者の過失割合は、9:1や8:2といった形で表すもので事故状況によって違ってきます。

事故の被害者は加害者に対して損害賠償請求が行えますが、被害者側にも過失があれば慰謝料を含めた損害賠償額から相殺されることもあります(過失相殺)。

■慰謝料100万円で過失相殺が起こったときのケース

過失割合(加害者:被害者) 減額される金額 受け取れる慰謝料額
9:1 10万円 90万円
8:2 20万円 80万円
7:3 30万円 70万円

事故の被害が大きなものであれば損害賠償額も膨らんでしまうので、過失割合が示談交渉に与える影響は大きくなるものです。

そのため、相手方の保険会社との交渉が難航してしまうケースも多いと言えます。

たとえ事故の被害者であったとしても、過失があれば責任も生じるのでケースによっては負担が必要となります。

過失割合について正しく捉えたうえで、適正な損害賠償請求を行いましょう。

交通事故で請求できる慰謝料の種類と計算方法

事故を起こした加害者に対して請求できる慰謝料は、入通院慰謝料・後遺障害慰謝料・死亡慰謝料の3種類があります。

いずれの慰謝料も人身事故の場合のみに請求できるものであり、物損事故では請求できない点に気をつけておきましょう。

それぞれの慰謝料が発生する条件とポイントについてまとめると、以下の表のようになります。

慰謝料の種類 発生条件 ポイント
入通院慰謝料 ・交通事故が原因でケガをしたときに請求可能
・入通院の期間をもとに計算するため、治療期間が長いほど高額となる
後遺障害が残らなくても支払われるが、病院での診察が必要となる
後遺障害慰謝料 ・交通事故で負ったケガが治らずに後遺障害が残ってしまったときに請求可能
・後遺障害認定を受ける必要がある
・後遺障害が重くなるほど、請求できる慰謝料も高くなる
後遺障害が残るとその後の生活に大きな影響が出てしまうので、入通院慰謝料とは別に請求できる
死亡慰謝料 ・交通事故によって被害者が死亡してしまったときに請求可能
・被害者の遺族が請求することになる
家族がいる場合には、家庭内での被害者の属性(役割)や家族の人数によって請求額も異なる

加害者に請求する慰謝料額は、原則として被害者の年齢・性別・職業などは関係がなく、被害の大きさ(治療期間の長さや後遺障害の有無など)によって決まります。

ただ、計算の根拠となる基準によって慰謝料額が異なる点も押さえておきましょう。

自賠責保険基準・任意保険基準・弁護士基準(裁判基準)の3つがあり、それぞれの特徴をまとめると次の通りとなります。

自賠責保険基準
自動車やバイクの保有者が加入を強制されている保険であり、自動車損害賠償法(自賠法)を根拠としています。
交通事故の被害者に対して最低限の補償を目的としており、もっとも低い基準額になります。
任意保険基準
保険会社が独自で設定している基準であり、一般的な自動車保険のことを指します。
金額は保険会社によって異なりますが、多くの保険会社は旧任意保険基準を踏襲した金額であるため、自賠責保険基準と同等か、それを少し上回る程度です。
弁護士基準(裁判基準)
過去の裁判例をもとに設定している基準であり、主に弁護士に依頼したときや裁判になったときに採用される基準となります。
3つの基準のうちで、もっとも高い金額となりますが、過去の裁判例を参考にしているので問題ありません。

具体的に請求できる慰謝料額を「通院のみ」のケースで基準ごとに比べてみると、以下のようになります。

通院期間 自賠責保険基準 任意保険基準 弁護士基準(裁判基準)
1ヶ月 8.4万円 12.6万円 19~28万円
3ヶ月 25.2万円 37.8万円 53~73万円
6ヶ月 50.4万円 64.3万円 89~116万円

※ひと月の通院回数は10回として算出
※任意保険基準は推定
※弁護士基準(裁判基準)は「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準2020年版」参照

3つの基準の中では弁護士基準(裁判基準)が最も高く、自賠責保険基準と比べると2倍程度の差が出るケースもあります。

また、ケガの治療を続けていても完治せずに後遺症が残ってしまう場合には、後遺障害認定を受けましょう。

後遺障害慰謝料を請求するためには、単に後遺症があるだけでは認められないため、交通事故と後遺症の因果関係を明らかにする必要があります。

1日も早く事故後の生活を立て直すためにも、慰謝料の種類や計算基準の違いを踏まえたうえで、納得できる慰謝料を請求しましょう。

自賠責保険のほうが有利?【減額なし】となる場合もある

被害者の過失割合に応じて慰謝料に違いがあるものの、自賠責保険においては特別なルールが設けられているので、場合によっては「減額なし」となるケースもあります。

たとえ過失があったとしても、重大なものでなければ過失相殺が行われないのです。

自賠責保険における過失割合の捉え方についてまとめると、以下の表のようになります。

被害者の過失割合 減額される割合(後遺障害・死亡のケース) 減額される割合(傷害のケース)
70%未満 減額なし 減額なし
70~80%未満 20%の減額 20%の減額
80~90%未満 30%の減額 20%の減額
90~100%未満 50%の減額 20%の減額

※自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準(2001年金融庁・国土交通省告示第1号)を参照

70%以上の過失があるときにのみ減額されますが、重大な過失でないかぎり慰謝料の請求に影響はありません。

したがって、事故の状況によっては任意保険基準や弁護士基準(裁判基準)よりも、自賠責保険基準で慰謝料を計算するほうが有利になることもあります。

過失割合はどのように決まる?認定基準とポイント

過失割合は保険会社から提示されることが多いですが、あくまでも当事者同士の話し合いによって決められます。

事故の状況にあわせて過去の判例をもとに決まり、一定の基準(過失割合認定基準)があることを押さえておきましょう。

示談交渉においては一方が不利になってしまわないように、過去の判例をベースとして話し合いが進められるのです。

自分で過失割合認定基準を調べる方法としては、次の2つあります。

■別冊判例タイムズで調べる方法
別冊判例タイムズ(民事交通訴訟における過失相殺率等の認定基準)では、交通事故のパターンごとに過失割合が調べられます。そのため、実際に起こった事故のケースを自分の場合にあてはめて考えられるでしょう。
■赤い本や青い本で調べる方法
日弁連交通事故相談センターが発行している「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(赤い本)」「交通事故損害額算定基準(青い本)」には過失割合の認定基準表が記載されています。弁護士に依頼をしたときの基準が分かるので便利です。

大まかな基準をあらかじめ押さえておくことで、保険会社から提示される過失割合が妥当なものかを判断する足がかりを得られるはずです。

保険会社との示談交渉において不利になってしまわないためにも、過失割合を自分でチェックしてみることも検討してみましょう。

過失割合の話し合いや慰謝料請求で困る前に弁護士に相談してみよう

交通事故の被害が大きく、損害賠償額が膨らんでしまうほど、相手方の保険会社との示談交渉も難航してしまうものです。

いくら正しい主張をしたとしても、被害者1人で交渉するときには主張がなかなか通らないケースもあります。

納得できる過失割合を決め、適正な金額の損害賠償請求を行うためには、弁護士に相談してみるのも1つの方法です。

弁護士に相談をすることで示談交渉を任せられるだけでなく、弁護士基準(裁判基準)が適用されることによって、慰謝料が増額する可能性もあります。

また、保険会社が提示してくる過失割合が、必ずしも妥当なものとはかぎりません。

過去の判例にもとづいているとはいえ、まったく同じ事故はないので判断に偏りが出てしまう恐れもあるでしょう。

交通事故事案に詳しい弁護士に相談をすれば、被害者の状況にあわせて適切な判断やアドバイスをしてもらえます。

まとめ

交通事故によって発生した損害については加害者に請求できますが、被害者自身にも過失があるときには注意が必要です。

過失の程度によっては本来請求できる損害賠償額が減額となる可能性もあり、過失割合について慎重に見定めていかなければなりません。

ただ、被害者1人で過失割合について調べたり、相手方の保険会社と示談交渉を進めたりするのは大変でもあります。

納得できる慰謝料を得るためにも、早い段階で弁護士に相談をしてみることも検討してみましょう。

交通事故で被った損害を適切に補償してもらうためにも、弁護士のサポートを受けて示談交渉を進めていくことも大切です。

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