2020.11.17 更新

【判例あり】車同士のケースと何が違う?自転車事故での過失割合

車と自転車との事故では、過失割合などの点において車同士の事故とは異なる部分もあります。

車体のサイズが小さい自転車のほうが被害も大きくなってしまう傾向にあるため、ドライバー側は事故後の対応について流れをきちんと押さえておく必要があるでしょう。

保険によってどの程度までカバーできるのかといった点や、ケース別での過失割合を把握することで、自転車との事故に対する基本的なとらえ方を理解することが大切です。

この記事では、自転車事故の件数や事例、事故を起こさないための対策なども交えながら詳しく解説していきます。

自転車事故にあってしまった!事故発生から解決までの基本的な流れ

事故発生から解決までの流れ

交通事故が発生してしまったときには、慌てずに適切な対応をとっていく必要があります。

事故が起こってから解決までには、以下のような流れで進んでいきます。

■事故直後
まずは車両を安全な場所に移動させてから、ケガ人の救護を行いましょう。二次的な被害を防ぐための処置であり、必要に応じて通行人などの協力を求めることも大切です。
■警察への通報
道路交通法の規定によって、警察への通報はドライバーの義務となっています。事故現場の記録を残してもらうことで、その後の損害賠償や保険の適用を適切に進められます。
■実況見分
警察官が事故現場において、実況見分を行います。車両の損傷具合や事故当時の状況などを調べ、当事者双方の意見をもとに実況見分調書が作成されます。冷静に記憶をたどりながら、事故について説明を行いましょう。
■保険会社に連絡
任意保険に加入している場合には、保険会社への連絡もすみやかに行います。また、治療費や修理代などについては、相手方の保険会社とやりとりをしましょう。
■病院での診察
交通事故とケガとの因果関係をハッキリとさせるために、事故処理が済んでからすぐに病院で診察を受けましょう。医師の診断書を警察に提出することで、人身事故として取り扱われます。
■ケガの治療
ケガの完治もしくは症状固定(治療を継続しても症状の改善が見られない状態)となるまで、治療を継続します。もしも、後遺症が残ってしまった場合には、後遺障害認定の手続きも必要です。
■示談交渉
すべての損害が確定した段階で、相手方との示談交渉を行います。損害額を適切に請求するためにも、治療費や修理代などの見積書・領収書はきちんと保管をしておきましょう。
■示談成立(成立しない場合は裁判)
相手方との話し合いの結果、示談が成立すれば解決となります。ただ、過失割合や損害賠償額を巡って話し合いがまとまらない場合には、裁判によって争う流れとなります。

事故状況やケガの程度、示談交渉の進捗にもよりますが、事故発生から示談成立までには6ヶ月から1年程度の時間がかかります。

裁判で争うとなれば、さらに時間を必要とする点も押さえておきましょう。

自転車事故が起きた際の正しい対応

自転車事故においては、対処をする際にいくつかの注意すべきポイントがあります。

まず、警察官が到着する前に、事故現場において当事者同士で示談交渉を行ってしまってはいけません。

示談はいったん成立してしまうと後から覆すのが困難になってしまうため、ケガの治療が済んですべての損害額が確定してから行いましょう。

警察官が現場に到着するまでの間は、時間があれば事故現場や車両状況などを写真で撮影して証拠を残しておくほうが賢明です。

また、事故直後に目立った症状がなかったとしても、むちうちのように後から症状が出ることもあるので病院で医師の診察を受けましょう。

慰謝料などの請求は物損事故では行えないため、医師の診断書を提出して人身事故として届け出ることが大切です。

さらに、自分が加入している保険の状況を確認しておくこともポイントになります。

特に、弁護士費用特約のオプションがついていれば、加害者側と揉めてしまったときにも費用の負担を気にせずに弁護士に相談できます。

事故後の示談交渉に備えて、早い段階で対応していくことが重要です。

補償はどれくらい受けられる?ケース別の過失割合

保険の基本的な仕組みと補償額

自転車事故の場合、相手方が任意保険に加入していなければ、充分な補償を受けられない可能性もあります。

また、相手が自転車だと高額な損害賠償額を請求される恐れもあるため、自動車保険をうまく活用することが大切です。

一般的な自動車保険では、対人賠償・対物賠償がセットになっています。

保険金額を無制限のものに設定しておけば、もしものときにも安心です。

また、自分や同乗者に対する補償としては「人身傷害補償」「搭乗者傷害補償」などがあります。

ケガの治療費や手術費、後遺障害となってしまった場合の保険金などがカバーできます。

車両の損傷については、車両保険によって修理代を補てんでき、特約によっては代車費用やレンタカーの費用なども補えるでしょう。

そして、弁護士費用特約といったオプションが付帯している保険も多いので、どの程度の補償を受けたいかを精査して加入する保険を選ぶことが大切です。

自転車のほうが過失割合は低くなる

自転車事故においては「優者危険負担の原則」から、自転車の過失割合は低くなる傾向にあります。

理由としては、自転車のほうが車体のサイズが小さいため、事故を回避する責任は車のほうが重いと判断されるからです。

ただ、事故状況や個別の事情によっても過失割合が違ってくるので、自分がどのケースにあてはまるかは慎重にとらえていく必要があります。

ケース別に過失割合をまとめると、以下のようになります。

■信号機のある交差点
●直進同士のケース

自転車 四輪車
自転車(青)・四輪車(赤) 0% 100%
自転車(赤)・四輪車(赤) 80% 20%
自転車(黄)・四輪車(赤) 10% 90%
自転車(黄)・四輪車(青) 45% 55%
自転車(赤)・四輪車(黄) 60% 40%
両方とも赤で進入 30% 70%

※日弁連交通事故相談センター東京支部 『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』(赤い本)参照。以下同じ。

●自転車右折・四輪車直進のケース

自転車 四輪車
両方とも青で進入 50% 50%
自転車(青で進入して黄で右折)・四輪車(黄) 20% 80%
両方とも黄で進入 40% 60%
両方とも赤で進入 30% 70%

●自転車直進・四輪車右折のケース

自転車 四輪車
両方とも青で進入 10% 90%
自転車(黄)・四輪車(青で進入して黄で右折) 40% 60%
両方とも黄で進入 20% 80%
自転車(赤)・四輪車(青で進入して赤で右折) 70% 30%
自転車(赤)・四輪車(黄で進入して赤で右折) 50% 50%
自転車(赤)・四輪車(右折可の信号で右折) 80% 20%

■信号機のない交差点
●直進同士のケース

自転車 四輪車
自転車のほうが広い道 10% 90%
四輪車のほうが広い道 30% 70%
自転車が優先道路 10% 90%
四輪車が優先道路 50% 50%
自転車に一時停止規制 40% 60%
四輪車に一時停止規制 10% 90%
自転車の一方通行違反 50% 50%
四輪車の一方通行違反 10% 90%

●自転車が直進・四輪車が右折のケース

自転車 四輪車
同じ道路に対向方向から進入 10% 90%
道路の幅がほとんど変わらない 20% 80%

●自動車が右折・四輪車が直進のケース

自転車 四輪車
同じ道路に対向方向から進入 50% 50%
道路の幅がほとんど変わらない 30% 70%

■丁字路

自転車 四輪車
自転車が直進・四輪車が右折 20% 80%
自転車が右折・四輪車が直進 30% 70%

■交差点以外
●正面衝突・巻き込み・追突などのケース

自転車 四輪車
四輪車がセンターラインを超えて、正面衝突 0% 100%
後ろからきた四輪車が自転車を巻き込む 10% 90%
渋滞中の事故 10% 90%
進路変更をしようとした自転車が後ろからきた四輪車に追突される 20% 80%
四輪車がドアを開けたときに、後ろからきた自転車と衝突 0% 100%

また、過失割合においては事故の個別的な事情を考慮する「修正要素」というものがあります。

修正要素は過失割合が増えるケースと減るケースがあり、それぞれ押さえておく必要があるでしょう。

■過失割合が増えるケース

修正要素 加算される割合 ポイント
著しい過失 10~20% 酒気帯び運転・ブレーキが壊れたままの運転・二人乗り・わき見運転など。
重過失 10~15% 酒酔い運転・居眠り運転・両手を放したままの運転など。
夜間の事故 5% 夜間は自動車が自転車を発見しづらいため。
一時停止無視・右折禁止違反 10%
その他 5~20% スマホを操作しながらの運転・無灯火・並進運転・傘差し運転など。

■過失割合が減るケース

修正要素 減らされる割合 ポイント
幼児・児童・老人 5~10% 13歳未満もしくは65歳以上
自転車横断帯・横断歩道の通行時 10% 横断歩道などを通過するときには、バイクや自転車のドライバーは慎重に運転する必要があるため。
相手ドライバーが交差点であるのに、徐行や減速をしない 10%
相手ドライバーのスピード違反 10%
相手ドライバーの重過失 20% 酒気帯び運転・わき見運転・無免許運転など。

損害賠償額や過失割合で納得いかないときは弁護士に相談しよう

過失割合は損害賠償請求に影響を与えるものなので、過失割合が高くなればそれだけ不利になってしまいます。

一般的に過失割合は、相手方の保険会社が提示してくるものです。

過失割合は過去の判例にもとづいているものとはいえ、必ずしも個別の事情を反映させているわけではないので、納得がいかない場合もあります。

示談交渉では過失割合を巡って、当事者の意見が食い違ってしまい、揉めてしまいやすいところがあるでしょう。

そのため、適正な金額の補償を受けるためには、弁護士に相談するのが問題の早期解決につながります。

弁護士のサポートを受けることで、個別の事情を反映させた損害賠償請求が行えるので、納得のいく形で示談交渉を進められるでしょう。

自転車事故は意外と多い?過去の判例と事故防止のためのポイント

バイク事故よりも多い?自転車事故の件数とその傾向

自転車事故はバイク事故よりも多く発生していることが、警察庁が2016年に公表した「自転車事故の推移」から分かります。

データによれば、2016年に全国で起きた自転車事故は93,424件となっており、交通事故全体の18.2%を占めます。

事故件数そのものは減少しつつありますが、致死率は交通事故全体の13%を占めるため注意が必要です。

過去の判例から学ぼう!自転車による事故のケース

自転車事故の具体的なケースについて知るためには、過去の判例を紐解くことも大切だと言えます。

たとえば、車と自転車が衝突した事故の中でも、自転車側の過失責任が重くとらえられた判例もあります。

■岡山地裁・平成21年7月16日判決
被害者である学生は自転車で通学中に、大型トラックと接触。トラックの運転手は自転車を避けようとしてハンドルを切ったものの、自転車がふらついて接触してしまい、数メートル引きずって停止した事案です。この裁判では、自転車側が本来道路の左端を走行すべきだったのに右側を走行し、並進した点などが重く見られて、6:4(自転車側:車側)の過失割合となりました。

自転車側の危険な走行を避けようとして、思いがけず事故となってしまうことも少なくありません。

自分を守るためにも、自転車の走行に危険を感じたときには徐行もしくは停止して、自転車が通り過ぎるのを待つほうが無難です。

事故は未然に防ぐのが大事!安全に運転するためのポイント

自転車事故を防ぐためには、日頃から事故を回避するために注意を払っておくことが大切です。

自転車と車の事故では出会い頭に衝突してしまうケースが多く、車線の区分がない道路での事故が多いと言えます。

そもため、交差点に進入するときや車道と自転車横断帯との区分がない道路を走行するときには、特に気をつけておく必要があります。

特に住宅街の交差点では、信号機や標識などが整備されていない場合も多く、道路の幅が狭くて見通しが悪い交差点では注意しましょう。

また、昼間に比べて夜間は視認性が低下するため、減速しないまま衝突してしまうケースもあります。

ハイブリット車や電気自動車は走行音が静かなので、自転車側が車の存在に気づかないこともあるでしょう。

周りが薄暗くなってきたら早めにヘッドライトを点けて、周囲に自転車が走行していないかを確認しつつ、車の存在を知らせることが大事です。

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まとめ

車と自転車との接触事故では、自転車のほうが被害も大きくなりやすいため、事故後の対応などについて適切に行う必要があります。

ただ、過失割合にもとづいて適正な補償を受けることも大切なので、過去の判例や証拠などを踏まえて自分の主張をしていくことを心がけましょう。

示談交渉で話が思うようにまとまらないときには、1人で思い悩んでしまうことはありません。

交通事故事案で実績のある弁護士に相談をして、示談交渉を有利に進めてみましょう。

弁護士のサポートを受けることで、問題の早期解決と適正な補償への道筋を見つけられるはずです。

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