2020.11.17 更新
後遺障害11級に該当するか知りたい!認定基準と慰謝料の相場金額一覧

目次
後遺障害11級の認定基準と具体的な症状一覧
自賠責後遺障害第11級の認定条件となる症状は、自賠責保険の認定基準により定められています。
下記の表を参照して、症状が該当しているかどうかを確認してみてください。
身体障害 | 具体的な症状 | |
---|---|---|
1号 | 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの | <調節機能障害> ピントをあわせる能力が通常の2分の1以下 <運動障害> 頭部固定状態で、眼球だけの視野が通常の2分の1以下 |
2号 | 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの | 眼瞼下垂(目を開いているつもりでも瞼が下がって瞳孔に被さっている状態)や、兎眼(瞼をとじても角膜を完全に覆えない状態) |
3号 | 1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの | 片目の瞼の全部または大部分が欠けたことにより、角膜のすべてを覆えなくなった状態 |
4号 | 10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの | 10本以上の歯が欠損し、差し歯、インプラント、入れ歯などによる治療が必要な状態 |
5号 | 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの | 両耳について、純音聴力検査での検査結果が40dB以上(軽度の聴力低下) |
6号 | 1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話し声を解することができない程度になったもの | 片耳について純音聴力検査での検査結果が70~80dB未満(中高度の聴力低下) |
7号 | 脊柱に変形を残すもの | 神経のまひや運動機能の障害をともなわない脊柱の変形 |
8号 | 1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの | 片方の手の人差し指、中指、または薬指の第二関節から先を失った状態 |
9号 | 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの | 片方の足の親指を含む指2本について、 以下のような状態になったとき ・指の全長が半分以下 ・親指なら第一関節より先、それ以外の指では第二関節より先の部位について健常時の半分程度の範囲しか動かせない状態 |
10号 | 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの | 肺や心臓、胃腸などの内臓に障害が残ったせいで仕事に支障をきたす状態 |
※「自動車損害賠償保障法」の別表第2より
通勤時に交通事故で後遺症が残った場合は労災認定を行いましょう
通勤時の交通事故により後遺障害が残った場合は、労災保険を利用する方もいます。
労災認定が下されることで、加害者からの慰謝料とは別に休業補償給付などのさまざまな補償を受けることが可能になります。
労災認定について、詳しくはこちらのページをご参照ください
後遺障害11級の認定基準ごとの後遺障害慰謝料は?
後遺障害慰謝料の金額は、3つの算定基準のうちのどれを使うかによって異なります。
3つの算定基準は、以下のとおりです。
・自賠責保険基準
・任意保険基準
・弁護士基準(裁判所基準)
最も慰謝料額が安くなりやすいのが「自賠責保険基準」、最も高くなりやすいのが「弁護士基準(裁判所基準)」です。
任意保険基準の具体的な慰謝料額の算定根拠は非公開ですが、一般的には自賠責保険基準と同等か少しだけ慰謝料が高くなる程度です。
後遺障害11級の場合の慰謝料の算定基準について下記の表にまとめています。
11級の後遺障害慰謝料の相場 | ||
---|---|---|
自賠責保険基準 | 136万円 | |
任意保険基準 | 150万円 | |
弁護士基準 | 420万円 |
弁護士に相談することで、裁判所基準による算定が可能になります。
自賠責保険基準や任意保険基準による慰謝料額に納得できない場合は、弁護士への相談を検討してみましょう。
後遺障害11級の逸失利益の計算方法
後遺障害慰謝料額を決定する一要素として「逸失利益」があります。
逸失利益とは、後遺障害で労働能力が低下または喪失したせいで、将来的に失われるだろうとされる損害の総額です。
具体的な計算式は下記になります。
後遺障害11級の場合は労働能力喪失率が20%と定められています。
逸失利益=基礎収入額 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数(ライプニッツ係数)
具体例を使って、実際に計算してみましょう。
【事例:30歳会社員、年収500万円、後遺障害11級】
年収500万円の30歳会社員に等級11級に相当する内臓の障害が残った事例
逸失利益 = 500万円(基礎収入額) × 20%(労働能力喪失率) × 22.167(ライプニッツ係数:67歳までの就業可能年数)
= 2216万7000円
注)事故発生日は2020年4月1日以降として計算しています。2020年4月1日以前の事故の場合、ライプニッツ係数の数値が異なります。
基礎収入額は、事故の前年度の年収のことです。
会社員であれば毎年年末に会社から発行される、源泉徴収票で確認をします。もし紛失しても、会社に再発行すれば入手可能です。
後遺障害は1つ等級が異なるだけで、慰謝料・逸失利益など損害賠償に大きく影響します。
適切な補償を受けるためにも、受けた被害に見合った等級認定を受ける必要があるのです。
逸失利益のより詳しい情報はこちらにまとめています。
後遺障害11級の判例パターンを紹介
ここで、後遺障害11級の判例を2つ紹介します。
事例を知ることで、後遺障害11級が逸失利益などの損害賠償に与える影響や、裁判所の考え方をより深く理解できるでしょう。
【1.2013年 横浜地方裁判所管内 和解例】
概要:被害者が運転していた自転車前部に、加害者が道路外からバックさせてきた四輪車が衝突した事件。被害者には脊柱変形の後遺障害が残り、等級は11級と認定された。
争点:加害者は、被害者の後遺障害は軽度であり、ただちに減収はしていない。そのため、11級の「労働能力喪失率」として定められている20%は不相応に高いと主張。
裁判所による判断(和解案):被害者は後遺障害により減収はしなかったが、昇給が見送りになったり、重い機器を運搬するなどの肉体労働が難しくなったりといった側面がある。そのため、症状固定から10年間は20%の労働能力喪失率で逸失利益を計算するのが相当である。ただし、以降の18年間は10%の労働能力喪失率で計算する。

【2.2012年 東京地方裁判所 和解例】
概要:被害者は二輪車で交差点を直進中、対向の右折車と接触し11級の後遺障害が認定された。
争点:加害者は、被害者が黄色信号で交差点に進入してきた点と、被害者が飲酒運転していた事実をもって、被害者の過失割合が70%以上になると主張。
裁判所による判断(和解案):被害者は青信号から黄色信号に変わった時点ではすでに交差点に進入しており、交差点手前で安全に停止できる位置を超えていた。すなわち、黄色信号であっても例外的に交差点への進入が認められるケースであり、青信号進入とみなして、過失割合は15%である。飲酒運転による過失割合の修正が入っても、25%にとどまるものであり、加害者の主張する70%には及ばない。

後遺障害等級の認定を弁護士に相談するメリット
後遺障害の等級認定は、基準が設けられてはいるものの、症状によっては判断が難しいケースがあります。
だからといって適切な等級認定を受けられなければ、損害賠償額にも大きく影響します。
適切な等級認定を受けるためにも、法律や交通事故案件に明るい弁護士に相談することも検討しましょう。
弁護士に相談するメリットとしては以下が挙げられます。
・後遺障害の等級認定手続きを手伝ってくれるので、スムーズに進められる
・適正な後遺障害の認定を受けやすくなる
・裁判所基準で慰謝料を算定できるため、適正な慰謝料を受けとれる可能性がアップする
後遺障害の等級認定手続きを自力で行うのは、書類の収集や作成などにたいへんな労力を使います。
後遺障害の等級が1つ上がると慰謝料の額は大きく変わるため、適正な認定を受けられるように手続きは万全に進めたいところです。
弁護士に相談することで、認定手続きにかかる労力を削減できるのはもちろん、適正な等級認定を受けるための申請方法も教えてもらえます。
また、保険会社を介して行った等級認定手続きの結果に不服がある場合は、弁護士が異議申立というかたちで等級認定の再申請を代行してくれることがあります。
交通事故の無料相談はこちら
弁護士法人ステラ
0120-683-008
まとめ
後遺障害11級の認定基準は自賠責保険をもとにした認定基準が定められています。
後遺障害の等級が一つ変わるだけで、慰謝料や逸失利益に大きく影響します。
保険会社に提示された後遺障害等級に納得いかない場合は、弁護士に依頼をすることによって異議申し立てを行う余地があるかどうかを検討することができます。
適正な賠償金にするためには、弁護士に依頼を検討することがおすすめです。
豊富な経験や判例などの知識を備えた弁護士であれば、納得できる後遺障害の認定や慰謝料の算定の助けになってくれるでしょう。