2020.11.24 更新
相談したほうがいい?後遺障害認定手続きを弁護士に依頼するメリット
「後遺障害に認定されるためには、弁護士に依頼した方がいいって本当?」
「でも費用が心配…」
交通事故の被害にあって後遺症が残ってしまったときには、適正な補償を受けるためにも、後遺障害認定手続きを行うことが必要です。
ただ、被害者自身で手続きを行おうと思っても手続きの仕方が分からなかったり、申請しても症状が軽いと認定されてしまうこともあったりするでしょう。
この記事では、後遺障害認定手続きの基本的な仕組みや基準、申請方法について解説していきます。
また、認定手続きを弁護士に依頼するメリットや費用についても見ていきましょう。
目次
申請したら認定される?後遺障害認定手続きにおける基本的なポイント
交通事故によってケガを負ってしまった場合に、治療を継続しても後遺症が残ってしまう場合があります。
後遺症は後遺障害認定手続きを受けることによって、後遺障害として認められるものです。
後遺障害には1~14級までの等級があり、それに応じて補償を受けられます。
適正な補償を受けるためにも、後遺障害認定手続きは必ず行いましょう。
後遺障害認定において、統計的に一番認定される割合が高い等級は14級となっています。
損害保険料率算出機構がまとめた「後遺障害等級に関する統計(2018年度)」によれば、14級は全体の約60%を占めます。
ただ、申請すれば後遺症のすべてが後遺障害として認められるわけではありません。
日本損害保険協会が公表した「自動車保険データ2012年度版」によれば、認定率は人身事故において約5%となっています。
※後遺障害の申請件数ではなく「すべての人身事故」における割合です。
損害保険料率算出機構の年間請求受付件数は約130万件あるものの、後遺障害として認定されるのは、そのうち6,000件ほどです。
後遺障害の申請件数については公表されていませんが、これらの数値から考えても「申請すれば後遺障害に認定される」とは限らないでしょう。
したがって、後遺障害認定手続きで悩んでしまったときには、弁護士に相談をするのも1つの方法です。
弁護士に相談をすれば、通院や治療についてのアドバイスや後遺障害診断書のチェック、医師とのやりとりまで行ってもらえるので、認定率を高められる可能性があります。
また、認定結果に納得できない場合に、異議申し立てを起こすときにも心強い味方となってもらえます。
むちうちなどの症状は、客観的な説明をすることが難しい面もあるので、弁護士のサポートを受けたほうが無難です。
後遺障害の認定基準と具体的な申請方法
後遺障害認定の申請方法とポイント
後遺障害認定が重要なのは、等級認定を受けることによって後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できる点があげられます。
加害者側から必要な補償を受けるためにも、症状固定(治療を継続しても症状の改善が見られない状態)となってから、申請を行いましょう。
損害賠償請求においては治療期間が影響してくるので、保険会社から催促をされても安易に応じてしまってはいけません。
症状固定の判断は医師が行うことを踏まえて、必要な治療は継続して行うことが重要です。
後遺障害の等級は1~14級まであり、慰謝料額もそれぞれの等級で決まっています。
ただ、逸失利益については同じ等級であっても、年齢や収入によって異なってくるので注意しておきましょう。
認定基準と慰謝料の目安
後遺障害の認定基準は、国土交通省が定めている「自動車損害賠償保障法施行令別表」によって細かく決められています。
交通事故と後遺症の因果関係を証明することが重要であり、後遺障害診断書などの書類によって審査されます。
また、計算をする基準によっても慰謝料額は大きく異なっています。
自賠責保険基準・任意保険基準・弁護士基準(裁判基準)の3つがあり、後遺障害14級を例とすると慰謝料額の目安は次のようになります。
自賠責保険基準 | 32万円 |
---|---|
任意保険基準 | 40万円 |
弁護士基準(裁判基準) | 110万円 |
※自賠責保険基準と弁護士基準は、日弁連交通事故相談センター 東京支部「損害賠償額算定基準(2020年版)(通称・赤い本)」を参照
※任意保険基準は保険会社ごとに異なり、あくまで推定です。
※身体の他部位に後遺症が見られた場合などは、さらに慰謝料額が高くなる可能性もあります。
適正な補償を受けるためには、自分がどの後遺障害にあてはまるのかを把握したうえで、慰謝料額の計算の違いを押さえておくことが大切です。
後遺障害の等級ごとの慰謝料相場については、以下の記事で詳しく解説しています。
後遺障害認定手続きを弁護士に依頼するメリット
メリット1.弁護士基準(裁判基準)が適用される
後遺障害認定手続きを弁護士に依頼するメリットとしては、損害賠償請求において弁護士基準(裁判基準)が適用される点があげられます。
他の基準と比べても一番高く、充分な補償を受けるためには早めに弁護士に相談をすることが大切です。
入通院期間が長くなるほど、加害者側に請求できる損害賠償金は増える傾向にあります。
ケガの程度が大きいほど、損害賠償金も多くなる可能性があるので、交通事故事案に詳しい弁護士に相談をして請求を漏れなく行うことが重要だといえます。
なお、弁護士を通じた損害賠償請求以外では弁護士基準(裁判基準)は適用されない可能性が高いので注意をしておきましょう。
メリット2.適切な等級に認定されやすくなる
弁護士に依頼をすることで、後遺障害診断書のチェックや通院に関する的確なアドバイスを受けられます。
診断書などを細かく見ていくためには専門的な知識も必要となるため、被害者が1人で判断をするのは難しい面もあるのです。
弁護士を通じて後遺障害認定手続きを進めることで、認定率を高められる可能性があります。
また、認定された等級に納得できない場合であっても、弁護士に相談をすることで異議申し立てや裁判をスムーズに行えるでしょう。
後遺症を負ってしまうと長く向き合っていく必要があるので、等級認定について安易に妥協をしないことが肝心です。
メリット3.示談交渉など面倒なやりとりを任せられる
後遺症となるようなケガを負ったまま、後遺障害認定手続きを行ったり、示談交渉を進めたりするのは大変でもあります。
必要な書類を準備するためには専門的な知識が必要であり、証拠集めを1人で行うのは負担も大きいものです。
弁護士に依頼をするメリットは、後遺障害認定手続きや示談交渉などで必要となる書類作成や交渉をすべて任せられる点もあります。
時間的・心理的な負担を軽減し、治療に専念できる環境を整えることにつなげられるはずです。
メリット4.請求できる損害賠償金に漏れがなくなる
後遺障害と認定されれば、後遺障害慰謝料や逸失利益が請求できます。
交通事故における損害賠償請求では、治療費・休業損害・交通費など請求項目は多岐にわたるので注意が必要です。
1つ1つの項目を被害者自身が計算をするのは大変であり、どのような項目で請求できるのか分からない部分もあるでしょう。
交通事故事案に詳しい弁護士であれば、請求できる項目に漏れがなくなるので、適正な補償を受けやすくなります。
後遺障害認定手続きだけでなく、加害者側との示談交渉がなかなか進まないといった場合にも、弁護士に相談してみましょう。
どれくらいお金がかかる?弁護士に依頼するための費用
弁護士に相談をする重要性は分かっても、いざ依頼をするとなれば弁護士費用がいくらかかるのか気になってしまうものでしょう。
弁護士費用については、基本的に以下のようになります。
■着手金ありの場合
着手金:10~20万円
報酬金:獲得金(損害賠償金のうち) 10~20%
■着手金なしの場合
着手金:無料
報酬金:獲得金(損害賠償金のうち) 20~30%
つまり、成功報酬型の弁護士事務所であれば、手元に現金がなくても依頼が行えます。
また、加入する任意保険に弁護士費用特約がついていれば、保険の範囲内で費用をカバーできるはずです。
費用のことで悩んでしまわないためにも、交通事故の被害にあったときには特約の有無について保険会社に早めに確認しておくことが大切です。
事故発生後の対応と弁護士に相談をするタイミング
交通事故が発生してから示談が成立するまでには、いくつかのプロセスを経ることになります。
基本的な流れを把握しておくことによって、弁護士に相談をすべき適切なタイミングを見極めてみましょう。
【事故発生~示談成立までの基本的な流れ】
① 交通事故発生
↓
② 入院・通院で治療
↓
③ 症状固定・後遺障害認定
↓
④ 保険会社と示談交渉
↓
⑤ 示談成立・損害賠償金の受け取り
(示談不成立の場合には裁判)
① 交通事故が発生してからの対応
まずは、交通事故が発生したときには警察に通報して、実況見分をしっかりと受けることが大切です。
過失割合にも大きな影響を与えるものなので、冷静に事故状況を説明しましょう。
加害者側からこのタイミングで示談の話をされることがありますが、その場で応じてしまってはいけません。
示談交渉はすべての損害が確定してから行うべきものなので、加害者側から打診があっても断ることが大切です。
② 入院・通院で治療
ケガの治療については、医師の指示に従って進めていきます。
保険会社から治療費の打ち切りを打診されても、途中で治療を止めてしまってはいけません。
症状固定(治療を継続しても症状の改善が見られない状態)となるまで、治療を続けていきましょう。
③ 症状固定・後遺障害認定
後遺症が残ってしまったときには、後遺障害認定手続きを行うことも重要です。
後遺障害と認められれば、後遺障害慰謝料や逸失利益を請求できます。
治療費や後遺障害手続きで悩んでしまったときには、弁護士に相談をしてみるとスムーズな解決に結びつけられるはずです。
④ 保険会社と示談交渉
示談金については、相手方の保険会社から提示されるものですが、被害者にとって内容が納得のいかないものであることもめずらしくありません。
弁護士には事故が起きてからはやめに相談をされた方がいいと思いますが、少なくとも示談金が相手保険会社より提示が来たタイミングでは相談しましょう。
なぜなら、示談金の概算が分かることによって、弁護士に依頼をしたときにどれくらい増額できるのかについて見込みを立てることができるからです。
示談が成立してしまってからでは、示談内容を変更するのは難しくなってしまうので安易にサインをせずに、弁護士に相談をしてみましょう。
また、損害賠償請求は3年で時効(人身事故では5年)となってしまうので、示談交渉が長引いてしまうと被害者にとって不利な状況になりがちです。
示談交渉をスムーズに進めて、適正な補償を受けるためにも弁護士のサポートを受けることが大切だと言えます。
⑤ 示談成立・損害賠償金の受け取り
示談内容に納得すれば示談成立となり、弁護士を通じて損害賠償金が支払われます。
示談が不成立となってしまったときには、裁判で争うケースも出てくるでしょう。
被害者自身が裁判の準備を行うことは大変でもあるので、専門的な知識を持った弁護士に相談をすることが重要です。
どの基準で選ぶべき?後遺障害について相談するときの弁護士の選び方
弁護士は法律の専門家ですがそれぞれに得意分野があるので、選ぶときには注意も必要です。
後遺障害についての相談であれば、交通事故事案に詳しい弁護士に相談をするほうがよいでしょう。
Webサイトなどを通じて、これまでの相談実績や解決した事例などをチェックしてみてください。
そして、気になる弁護士事務所を見つけたら、一度問い合わせてみましょう。
初回相談を無料としている弁護士事務所もあるので、まずは気軽に相談をしてみることが大切です。
きちんと話を聞いてくれて、手続きの仕方や費用などの詳細を丁寧に教えてくれる弁護士に依頼をし、問題を解決していくことが重要だといえます。
交通事故の無料相談はこちら
弁護士法人ステラ
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まとめ
後遺障害の適正な認定を受けて、納得できる慰謝料額を受け取りたいのであれば弁護士へ相談しましょう。
弁護士に相談することで、慰謝料がもっとも高額になりやすい「弁護士基準」という算定方法を用いることができます。
また、最善の解決への道筋を相談者と一緒になって進めてもらえるので、身近な弁護士事務所として心強さを感じるでしょう。
まずは些細なことでも1人で悩んでしまわずに、話をすることが大切です。