2020.12.18 更新

【判例あり】交通事故の相手が飲酒運転!過失割合はどうなる?

「交通事故の相手が飲酒運転だった!損害賠償に影響はあるの?」
「過失割合」は、交通事故による損害賠償額に大きな影響を及ぼします。
過失割合が大きければ大きいほど、加害者が支払うべき賠償額もそれに見合った金額になるのが通常です。
加害者に飲酒運転が認められれば、過失割合は大きくなる可能性があります。
ここでは、
・飲酒運転の種類
・飲酒運転が過失割合に影響を与えた事例
・保険会社から提示された過失割合に納得できないときの対処法
などを紹介します。

飲酒運転の種類と過失割合の関係とは?

飲酒運転の種類ごとの解説に入る前に、「過失割合とは何か」を簡単に説明します。

過失割合とは、交通事故をおこした当事者それぞれが負うべき責任の割合です。

発生した交通事故について「当事者のどちらがより不注意だったか(過失があったか)」を数字で表すことで明確にし、損害賠償額算定のベースにします。

ほとんどの交通事故では、双方になんらかの過失があります。

そして、過失割合は、当事者それぞれが加入している保険会社同士の話し合いによって決められるのが一般的です。

飲酒運転には「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2種類があります。

酒気帯び運転 ・体内のアルコール濃度が一定値を超えた状態
・呼気中のアルコール濃度が0.15mg/l以上であるか、血中のアルコール濃度が0.3mg/ml以上
・著しい過失とみなされる
・過失割合が5~20%加算修正される可能性がある
酒酔い運転 ・酒気帯びよりも悪質な飲酒運転
・正常な運転ができないほど酔っていたのかどうかが判断基準
・重過失とみなされる
・過失割合が5~20%加算修正される可能性がある

「酒気帯び運転」の判断基準と過失割合への影響

酒気帯び運転の判断を左右するのは、第一にアルコールの検出量です。

具体的にいうと、呼気中のアルコール濃度が0.15mg/l以上であるか、血中のアルコール濃度が0.3mg/ml以上であれば、酒気帯び運転と判断されます。

実際の過失割合においては、酒気帯び運転と判断されたことにより5~20%の修正がなされたとの事例が複数あり、損害賠償の算定上でも無視できないポイントです。

「酒酔い運転」の判断基準と過失割合への影響

酒酔い運転は、酒気帯び運転とは異なり、「正常な運転ができないほど酔っていたのかどうか」で判断されます。

呼気中や血中のアルコール濃度で測らないため、少し基準が抽象的でわかりにくく感じられるでしょうか。

お酒に強い人と弱い人では、正常な運転ができない程の酒量というのは異なるため、酒酔い運転が認められた場合も、加害者の過失割合に5~20%の加算修正がなされる傾向にあります。

加害者が運転した乗り物によって過失割合は変わる?

加害者が運転した乗り物の種類によっても、過失割合は変わる可能性があります。

ただし、交通事故の発生原因や状況はケースバイケースです。

そのため、一概に「自転車なら過失割合は〇」「四輪車なら過失割合は△」と断じることはできません。

事故ごとの状況によって異なるのが過失割合だからです。

自分が当事者となった事故の過失割合を知りたいということであれば、インターネット上で似た事故のケースを探し出すことで、参考にすることはできるでしょう。

ただし、まったく同じ状況の事故でもない限り、過失割合について100%参考にすることは難しいです。

似た例を探すのにも、相当の労力や時間がかかるでしょう。

法律や過去の裁判例などに明るい弁護士に相談することで、適正な過失割合を導き出せる可能性があります。

車での飲酒運転が極端に過失割合に影響しなかった例

例外的な事例ではありますが、飲酒運転が過失割合にさほど影響しないケースも考えられます。

たとえば、事故後に運転者の呼気からアルコールが検出されたケースです。

このケースでは、仮に酒気帯び運転だったとしても、そのことが事故発生の可能性に具体的な影響を及ぼしたわけではないとして、過失割合の修正が否定されました。

※福岡地裁小倉支部 平成27年11月27日判決 平成26年(ワ)第600号 損害賠償請求事件(確定)

自転車での飲酒運転が極端に過失割合に影響した例

加害者が自転車であっても、飲酒運転は過失割合の大幅な修正につながります。

自転車でも自動車と同様、酒気帯び運転は「著しい過失」、酒酔い運転は「重過失」、と位置づけられているのです。

そのため、自転車だからといって加害者の過失割合が低くなるわけではありません。

自転車に限らず、バイク、大型車による事故においても同様です。

酒気帯び運転でも酒酔い運転でも、最高20%程度の過失割合の加算修正がなされると考えておきましょう。

なお、実際の過失割合は事故ごとにケースバイケースで決まることが多いため、似た事例を利用して過失割合を推測するのにも限界があります。

自分のケースの過失割合が知りたい場合は、弁護士へ相談するのが得策です。

賠償金にどれくらい影響があるのか実例も合わせて紹介

まずは、飲酒運転による過失割合の修正について、簡単な例を使って解説しましょう。

酒気帯び運転は、過失割合の考え方において「著しい過失」と位置づけられています。

一方で、酒酔い運転は「重過失」という位置づけです。

一般的に、著しい過失よりも重過失のほうがより責任が重いとされ、過失割合の加算も大きくなります。

具体的にいうと、酒気帯び運転または酒酔い運転によって加算される過失割合は5~20%です。

仮に、加害者と被害者の過失割合が7:3の交通事故で、被害者の損害額が100万円だとしましょう。

このケースで、加害者に酒酔い運転が認められ、加害者の過失割合が10%加算されれば、過失割合は8:2になります。

すると、加害者が支払うべき損害賠償額は100万円の8割、すなわち80万円です。

実際はより複雑な事情が絡み合うので、この例のようにシンプルな過失割合になるとは限りませんが、飲酒運転が認められれば過失割合が修正されるということは念頭に置いておきましょう。

実際に飲酒運転が過失割合に修正を加えた事例を1つ紹介します。

1.千葉地方裁判所 平成21年7月14日判決
この事故は、Cの運転する車が右折しようとしたところ、後ろから直進してきたDの車が接触して生じました。Dの酒気帯び運転の事実をもって、本来の過失割合に修正を加えるべきかという点が争点のひとつとなった事例です。

Dには無免許運転、速度超過という他の修正要素もあったものの、結果的に、酒気帯び運転については20%の過失修正がなされました。

飲酒や速度超過でなければ、事故類型に基づく過失割合のパターンとしてはC:Dで3:7とされるのが基本です。

しかし、Dの酒気帯び運転等による過失割合の加算修正と、Cの後方確認の過失による修正が勘案され、最終的には2:8という過失割合で決定づけられています。

飲酒運転と交通事故Q&A

飲酒運転が原因で発生したとされる事故について、よくある疑問をまとめて紹介します。

被害者の立場からだけでなく、当事者それぞれの多角的な目線から、飲酒運転が事故後の手続きに与える影響について分かりやすくまとめているのでご参照ください。

被害額が同じ場合、飲酒運転をしていた側の賠償金への影響は?

被害者と加害者それぞれが交通事故で同じ額の損害を受け、当初の過失割合が加害者7割、被害者3割だったとします。

被害者は加害者に対して損害賠償を請求できますが、実際に加害者から支払われる金額は、損害の額から被害者の過失割合に相応する額を差し引いた金額です。

被害者と加害者の損害額がともに100万円の場合、上記の過失割合なら被害者が加害者に請求できる金額は基本的に100万円のうちの7割、つまり70万円です。

対して、加害者は100万円のうちの3割である30万円しか請求できません。

加害者と被害者の損害額が同じでも、過失割合が大きい者ほど、支払うべき損害賠償金額は高くなるのです。

飲酒運転によって過失割合は大きくなるので、飲酒運転をしていた側は、飲酒運転をしていない側よりも多くの賠償金を支払わなければなりません。

被害者も飲酒をしていた場合は?

被害者の飲酒運転が損害の発生原因の一部として認められると、過失割合が修正され、通常よりも被害者の過失割合が高くなります。

また、飲酒運転のうちの「酒気帯び運転」なのか「酒酔い運転」なのかによっても、過失割合の修正度合いは異なってくるでしょう。

いずれにせよ、交通事故の過失割合について専門知識を持つ専門家の判断をあおぐことで、過失割合についての疑問を解消しやすくなります。

加害者と一緒に車に乗っていた人も罪に問われるの?

飲酒運転をした人だけでなく、同乗者にも罰則はあります。

同乗者への罰則は道路交通法で定められており、運転者が酒気帯び運転なのか、酒酔い運転なのかによって罰則の内容が異なるのが特徴的です。

酒気帯び運転の同乗者に対しては、2年以下の懲役または30万円以下の罰金と定められています。

酒酔い運転の同乗者は、3年以下の懲役または50万円の罰金だと定められており、酒気帯び運転よりも罰則が重いです。

ただし、同乗者が飲酒運転についてまったく知らなかったときは、この限りではありません。

運転者が飲酒していることを知りながら同乗した者に対して、罰則が定められています。

また、酒気帯び運転や酒酔い運転の同乗者には、運転免許取り消しまたは停止という行政的な処分も下されます。

損害賠償についても同様です。

たとえば、飲酒運転の同乗者が運転を止めようとしなかった場合などは同乗者にも責任が認められ、損害賠償請求の対象となるでしょう。

飲酒している人に車を貸した人はどうなる?

飲酒している人に車を貸した人(以下、車両提供者といいます)に対する罰則もあります。

車両提供者への罰則は飲酒運転の同乗者への罰則よりも重く、運転者が酒気帯び運転か、酒酔い運転かによっても異なってきます。

酒気帯び運転の場合、車両提供者への罰則は「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

酒酔い運転なら、車両提供者へは「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」が罰則として定められています。

また、酒気帯び運転と酒酔い運転のどちらであっても、車両提供者には運転免許取消または停止の処分が下されます。

さらに、事故の発生について車両提供者にも責任があると認定されれば、被害者は車両提供者に対しても損害賠償請求ができる可能性があります。

飲酒運転で加害者側が被る刑事・行政上の罰則とは

飲酒運転をした者にも罰則や処分の規定があります。罰則や処分の内容は「酒気帯び運転」の場合と、「酒酔い運転」の場合とで異なる部分が大きいため、順番に説明しましょう。

「酒気帯び運転」をした者には、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」が罰則として用意されています。

また、行政的には運転免許取消や停止の処分が一般的です。

「酒酔い運転」をした者へは「5年以下の懲役または100万円以下の罰金」と、酒気帯び運転に対するよりも重い罰則が設けられています。

行政処分としては「運転免許取消または停止」があり、この点は酒気帯び運転と同様です。

過失割合に納得がいかない時は弁護士に相談しよう

加害者の飲酒運転による事故では、加害者の過失割合が高くなるのが通常です。

しかし、保険会社によっては、加害者の過失割合を通常よりも低く認定して損害賠償額を提示してくる可能性があります。

保険会社が提示した過失割合や損害賠償額に不満がある場合は、無理に納得する必要はありません。

無茶な主張をするわけにはいきませんが、ひとまず弁護士に相談して、過失割合を適正に判断してもらいましょう。

交通事故に精通した弁護士なら、過去の判例に関する知識と豊富な実務経験を兼ね合わせているため、適正な過失割合の判断を任せられます。

また、自転車の運転者や歩行者として事故にあった場合は、相手方との示談交渉を自力でしなければならないケースも多く、心身ともに大きな負担になりがちです。

交渉にかかる負担や時間を削減し、適正な過失割合をもとに示談を進めたいのであれば、弁護士が力になってくれます。

保険で弁護士特約に入っていれば、弁護士費用をカバーできるため、まずは弁護士特約の有無の確認から始めましょう。

まとめ

飲酒運転による過失割合の修正は、簡単には説明できないほどの複雑な要素がからみあっています。

そのため、過去の似た事例を探してみても参考にしにくく、自力では適正な過失割合を導き出すことは難しいでしょう。

自力での過失割合決定にかける労力と時間は、弁護士に依頼することで削減することができます。

交通事故を専門としている弁護士であれば過失割合の算出にも長けており、より心強いはずです。

保険の弁護士特約を利用すれば費用面の負担少なく弁護士に依頼ができるので、ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。

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