2020.12.18 更新
交通事故の過失割合でもめる原因とは?対処法も合わせて紹介
「過失割合で相手側ともめてしまったらどうしよう…」
実際に過失割合でもめるケースと対処法
ここでは、過失割合をめぐって実際に当事者がもめやすいケースと、もめてしまった場合に自力で解決する方法について順番に解説します。
不当な過失割合を提示されたときときは?
交通事故の相手方の保険会社から提示された過失割合が不当だと感じた結果、もめ事に発展するケースは少なくありません。
過失割合によって損害賠償額が決まる定づけられる側面もある以上、不当だと感じたなら、無理に納得せずに自分の意見をしっかりと主張することが重要です。
その際、相手方が提示する過失割合を不当だとする根拠を提示できるように、似た事例を下調べしておきましょう。手間はかかりますが、過去の判例や過失割合の基本知識をまとめた書籍も販売されているので、ぜひ参考にしてみてください。
過失割合を決めるために必要なものは?
交通事故発生直後、事故の当事者には「警察への通報」が義務付けられています。
警察は事故の通報を受けるとすぐに、事故現場で当事者立ち会いのもと、実況見分を行うのが原則です。
実況見分では、事故や車両、損害の具体的な状況、当事者それぞれによる事故発生時の行動などのくわしい聞き取りや確認、写真撮影などが行われます。
そして、それらを資料化してまとめた書類を「実況見分調書」といい、過失割合を決める証拠になります。
過失割合を決める際には、実況見分調書が大きな証拠力を持ちます。
事故の相手方が提示する過失割合の妥当性を検討する際にも、実況見分調書は重要です。
しかし、事故直後に警察へ通報しなかったために実況見分調書が作成されていないケースでは、相手方が提示する過失割合の妥当性を判断するのが非常に難しくなります。
相手方が提示する過失割合が不当だと思っても、それを覆せるだけの根拠が不十分なため、なかなか白黒ハッキリできない争いに発展しがちです。

過失割合でもめたときに押さえておきたいこと2つ
過失割合は、簡単にいうと、発生した交通事故について「当事者が負うべき責任の割合」を指します。
つまり、「事故を起こした当事者のうちのどちらが、より不注意だったか(どちらにより大きな過失があったか)」を加害者:被害者で「5:5」や「7:3」などの具体的な割合を用いて示すものです。
通常は被害者と加害者それぞれに過失が認められ、「10:0」の過失割合になる交通事故というのは非常に限られてきます。
被害者からすれば、加害者の過失割合が大きくなればなるほど、加害者から支払われる損害賠償額も高くなるため、過失割合の判断は可能な限りで適正さを求めたいところです。
加害者と被害者それぞれが主張する過失割合が食い違いも、もめ事に発展するケースは多いです。
ここからは、過失割合でももめた際に知っておきたい基本知識について説明していきます。
過失割合とはどういった基準で誰が決めているの?
過失割合は、当事者が自由に決められるものではありません。
過当事者が加入する保険会社の示談交渉代理人が、過去の交通事故の裁判例等を参考にし、双方の話し合いで決定するのが通常です。
具体的には
・「交差点における直進車同士の事故」
・「対向車同士の事故」
・「交差点における右折車と直進車の事故」
などと事故をパターン化し、過去の類似パターンの過失割合を参考にしつつ、実際の事故の状況と照らし合わせて過失割合を修正していきます。
保険会社は過去の判例などを参照して過失割合を主張しますが、それが100%正しいわけではありません。
保険会社が、加害者の過失割合を不当に低く算出している可能性は否定できないのです。
被害者が自分で過失割合について調べたいときに役に立つのが、裁判所や日弁連交通事故センターが発表している過失相殺の基準表です。
実際の事故を、基準表に記載された事故の類似パターンに当てはめることで、基本的な過失割合を知ることができます。
また、日弁連交通事故相談センターが発行する「交通事故損害額算定基準」に掲載されている過失割合の考え方も参考になります。
事故の状況にあわせた過失割合を知ることで、保険会社が提示する過失割合に納得できない時の根拠にすると良いでしょう。
不当な(本来より大きい)過失割合になるとどうなる?
加害者の過失割合が高いほど、加害者から被害者に支払われる賠償金額が多くなります。
そのため、不当な過失割合で合意すると、被害者は適正な賠償金額を受け取ることができなくなります。
過失割合と損害賠償金額の関係について、表を使って説明します。
加害者 | 被害者 | |
---|---|---|
過失割合 | 7 | 3 |
請求したい損害総額 | 100万円 | 1000万円 |
請求可能な金額 | 100×0.3=30万円 | 1000×0.7=700万円 |
実際に受け取れる金額 | 0円 | 670万円 |
交通事故によって被害者に1000万円、加害者に100万円の損害が出ました。
このときの過失割合が、加害者7、被害者3だとすると、被害者は損害の全額を加害者に負わせることはできません。
被害者にも3割の過失が認められているからです。
実際にはより複雑な計算になりますが、上記の例で単純にいうと、被害者は損害のうちの7割、すなわち700万円を加害者に請求できます。
しかし、加害者も、100万円の損害の3割である30万円を被害者に請求できることから、最終的に被害者が請求できる金額は700万円から30万円を差し引いた670万円です。
加害者の過失割合が高いほど、加害者から被害者に支払われる賠償金額が多くなるため、過失割合について不当な判断をされてしまうと、被害者は適正な賠償金額を受け取ることができなくなります。
「過失割合」の判断が難しい場合は弁護士に相談するのがおすすめです!
過失割合の決め方は交渉次第な部分も大きいため、被害者側がしっかりと証拠を提出していたとしてもなかなか思い通りにはなりません。
過失割合の交渉で困ったときは、一度、弁護士に相談することをおすすめします。とくに交通事故に慣れている弁護士であれば、適正な過失割合の決定に必要な証拠の集め方や交渉の進め方がわかっているため非常に心強いです。
また、弁護士に手続きを一任することで、心理的な負担も減り、面倒な手続きを代わりにやってもらえれば肉体的な負担も軽減できます。
弁護士に示談交渉を依頼することで、もらえる賠償金額が増える可能性があるので、ぜひ選択肢のひとつとして検討したいところです。
費用面で不安という方は、保険の内容に「弁護士特約」が含まれていないかどうかを確認してください。
弁護士特約に入っていれば費用の負担が少なくなります。

まとめ
相手方から不当な過失割合を請求されると、もめ事に発展しやすいです。
不要なトラブルを避けるためにも、まずは過去の事例をもとに過失割合の考え方の基本を理解しましょう。
基本を理解することで、過失割合に対する交渉がやりやすくなります。
経験豊富な弁護士であれば、被害者の「トラブルにしたくない」という気持ちを汲みつつ、適正な過失割合の認定やスムーズな示談交渉に一役買ってくれます。
過失割合について、どうしてもトラブルに発展しそうなときは、一度弁護士に相談してはいかがでしょうか。
交通事故の無料相談はこちら
弁護士法人ステラ
0120-413-042