2020.12.18 更新
高速道路で交通事故の被害にあったら…過失割合を考えるポイント
高速道路で事故が起こる原因とは?過失割合についてのとらえ方
高速道路は一方通行であり、交差点や信号機もなく、歩行者も歩いていないといった一般道とは異なる特徴を備えています。
そのため、交通事故の発生率そのものは低い傾向にありますが、自動車の走行スピードが速いため、大事故につながりやすいといった特徴があるのです。
警察庁交通局が公表している「平成29年中の交通事故の発生状況」によれば、高速道路での事故は「前方不注意」のケースが多いと言えます。
カーナビやスマートフォンの操作、後部座席の様子に気を取られてしまうといった要因で、前方の確認が疎かになってしまうことがあげられます。
他にも、動静不注視(危険回避を怠る違反行為)や安全不確認といった要因もあります。
また、高速道路では対向車がこないので、頻繁に追い越しが行われるといった特徴もあり、進路変更時に事故が起こりやすいのです。
さらに、高速道路では原則として「駐停車禁止」となっているので、停車していること自体に対する見方も厳しくなります。
たとえ追突されてしまった場合であっても、被害者側にも落ち度があると判断されて、過失相殺されてしまう可能性もあります。
安全運転を心がけて、もしも事故にあったとしても過失割合で不利にならないように注意しましょう。
特徴を押さえよう!高速道路で起こる事故の過失割合
高速道路で起こる事故の過失割合を考えていくうえでは、事故のパターンごとに具体的な過失割合を把握しておくことが大切です。
主な事故のパターンをまとめると、以下のようになります。
事故のパターン | 過失割合 (加害者:被害者) |
ポイント |
---|---|---|
合流地点での事故 | 70:30 | 道交法第75条の6・1項によって、合流地点での接触事故は原則として直進車に優先権があるため、合流車側の過失が70%と重くなる。 |
進路変更による事故 | 80:20 | 道交法第26条の2・2項において、進路変更を行う車両は後方を走る車両の速度や方向を急に変更させるおそれがあるときには進路を変更してはならないとされている。 |
落下物が発生した場合 | 60:40 | 前方車が積載物を道路に落とし、後続車がそれを回避できずに事故となるパターン。一般道では後続車の前方注意義務が問われるが、高速道路においては回避行動をとるのは難しい。道交法第75条の10「自動車の運転者の遵守事項」。 |
歩行者との事故 | 20:80 | 高速道路は原則として人の侵入が禁止されているため、歩行者に80%の過失割合がある。 |
停車中に後続車の前方不注意による追突事故 | 60:40 | 高速道路の利用においては、最低速度を維持する義務がドライバーにはあるため、駐停車は原則として禁止されている。 |
ETC専用車線 | 100:0 | ETC専用車線では時速20キロメートル以下で進入し、徐行して走行することが定められているので、追突した後続車に過失割合が100%となります。 |
高速道路での事故は一般道と比べて、過失割合が重くなるパターンと軽くなるパターンがあるので、それぞれの過失割合の目安を押さえたうえで示談交渉に臨んでみましょう。
過失割合に納得できない!示談交渉をスムーズに進めるための方法
高速道路では一般道よりも速いスピードで走行しているため、状況によっては大事故につながりやすくもあります。
事故の被害が大きければ、損害額も膨らんでしまう傾向にあるので、過失割合については当事者間で揉めやすいと言えるでしょう。
過失割合は過去の判例などにもとづいて保険会社が提示してきますが、必ずしも個別の状況を反映しているわけではありません。
過失割合はそのまま損害賠償請求にも影響を与えるので、納得できないときには安易に示談書にサインしてしまうのは避けましょう。
高速道路の事故において、両方が走行していたときには過失割合が10:0になる事は無く、追突された場合であっても一定の過失が発生します。
そのため、加害者側の過失を証明することによって、自分の過失割合を下げることが可能なケースもあります。
ただ、被害者自身が相手方の過失を証明するのは難しくもあるので、交通事故事案に詳しい弁護士に相談をしてみるほうが良いと言えます。
弁護士に依頼をすることで、保険会社とのやりとりや証拠集めなどを任せられるので、被害者にとって心強い味方となってもらえます。
まとめ
高速道路での事故は大きな被害が生じてしまうケースもあるため、一般道での事故とは異なる視点で見ていく必要があります。
過失割合をゼロとするのは難しかったとしても、加害者側の過失を証明することで過失割合を引き下げられる可能性もあるのです。
しかし、過失割合を巡っては加害者と揉めやすい点でもあるので、慎重に判断していくことが大切だと言えます。
被害者自身ですべての問題に対処しようとすると、時間的・心理的な負担も大きくなるので、交通事故事案に詳しい弁護士に相談をしてみましょう。
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