2020.12.18 更新
駐車場での交通事故の過失割合はどう決まる?4つのケースを元に解説

駐車場は、道幅が狭かったりバック走行することもあり、公道と同じように事故が起きやすい場所です。
しかし、多くの駐車場は私有地のため、道路交通法が適用されないケースも多くあります。
こうした違いから「公道と駐車場で、過失割合の判断基準も変わってしまうのでは?」と疑問に思ってしまうのは当然のこと。
この記事では、駐車場においてよくある事故の過失割合を紹介。
すでに過失割合の交渉でお困りの方や、これから示談交渉に臨む方に、ぜひ知っておきたいトラブルの対処法についてもお話ししていきます。
目次
駐車場スペースで交通事故に…過失割合はどう決まる?
駐車場の中では、誰もが事故が起きないように注意を払わなければなりません。それは、自動車にも歩行者にも求められます。
この注意を怠って交通事故が起きた場合に、責任を各々が負担するという考えが過失割合です。
駐車場内では原則として出庫者よりも入庫車が優先されるため、交通事故が発生した場合は、入庫者の過失割合が低くなる傾向にあります。
駐車することが目的の駐車場では、駐車スペースへ入る車が優先されるからです。
一方の出庫車には、公道に出る時と同様の注意が求められます。
そのため、過失割合が高くなりがちで、出庫車側が不利になるケースが多く見られます。
この違いが、公道での交通事故と大きく異なる特徴です。
【ケース別】駐車場での衝突事故の過失割合を4つ紹介!
では、駐車場における事故の過失割合はどのように算出されるのでしょうか?
ここではよくある4つのケース紹介していきます。
駐車スペースへ入庫している自動車と衝突した場合
通路を進行中に駐車スペースに入庫している自動車に衝突した場合、基本の過失割合は進行者が80%、入庫者が20%になります。
公道での交通の流れを止めないように、駐車場での駐車スペースへの入庫を妨げてはいけないと考えられているからです。
駐車スペースから出庫している自動車と衝突した場合
駐車スペースから出庫する自動車と通路を進行する自動車が衝突した場合、過失割合は出庫者が70%で進行者が30%です。
駐車スペースから出る車は、より重い注意義務が設定され、切り返し駐車の場合でも基本、同じ割合です。夜間にライトをつけていなかった、脇見運転していたなどの他の過失があると、過失割合は加算されます。
駐車場の中にある交差点で出会い頭の事故が生じた場合
駐車場の中で交差点での出会い頭の事故を起こした場合、双方に同等の注意義務違反があったと考え、原則、過失割合は50%ずつになります。
直進か右左折かに関わらず等しく責任を負いますが、通路幅が極端に違ったり、一時停止の標識があったりすると、10~20%修正されることがあります。
駐車場の通路あるいは駐車スペースの中で歩行者と自動車が衝突した場合
駐車場の中の通路や駐車スペースで自動車が歩行者に衝突した場合、自動車が90%、歩行者が10%の過失割合です。
公道と同じように、駐車場でも歩行者は交通弱者として優先されますが、自動車が出入りする駐車場では歩行者にも事故を回避する注意義務があると考えられています。
駐車場の交通事故のよくある疑問について
駐車場内をバックで動いている途中で衝突したり、切り返し中に歩行者や自転車と接触した場合、過失割合はどう決まるのでしょうか。
ここでは、過失割合についての特に気になる疑問を3つご紹介します。
駐車場の交通事故のよくある疑問3つ
・駐車場でよくある「逆突事故」「バック事故」の過失割合は?
・駐車場スペースでの自転車や歩行者の事故の場合の過失割合について
・駐車場内で事故の過失割合が5:5になるのはどんなケース?
駐車場でよくある「逆突事故」「バック事故」の過失割合は?
駐車場内では、バックする車の後方不注意による逆突事故がよく起こります。通常は、逆突した側の過失割合が100%になることがほとんどです。
ただし、自動車が動いていた、クラクションを鳴らさなかったなどの過失があると、修正要素として逆突された側に10%程度加算されます。
駐車場スペースでの自転車や歩行者の事故の場合の過失割合について
自動車が駐車スペース内で歩行者に衝突した場合、基本過失割合は自動車90%、歩行者10%です。
この場合、歩行者が自転車であっても同じですが、自転車側に危険走行などの過失が認められると15%に修正されることがあります。
二輪車と自動車では、二輪車の方が事故で受けるダメージが大きいことから、過失割合が小さめに設定されています。これを単車修正といいます。
酒気帯びや通話しながらの運転など著しい過失があると、二輪車であっても5~10%過失割合は加算されます。
駐車場内で事故の過失割合が5:5になるのはどんなケース?
駐車場での交通事故の割合が5:5になるケース3つ
・駐車場内交差点における出会い頭の事故
・駐車スペースに入ろうとしている自動車同士の事故
・駐車場内の通路を走行中の自動車同士の事故
このようなケースでは、互いに等しく注意義務があるとして、過失割合は5対5になります。
一般道では、左方向から交差点に進入する車の方が優先される(道路交通法36条1項)などの規定がありますが、駐車場内では、他車の通行を予測し衝突を回避する義務を等しく負うため適用されません。
ただし、交差点に入る通路の条件が大きく異なるケースや、駐車スペースに入るタイミングの違い、走行中の速度などが修正要素となる可能性があります。
過失割合でもめてしまった場合、当事者での証拠集めが必要
一般の道路に比べ駐車場内は低速での走行が多いので、交通事故の被害もさほど大きくなりません。
しかし、
・逆突事故でブレーキを踏んだ、踏まない
・後続車として停止していた、動いていた
など、当事者同士の意見の食い違いによってもめることがよくあります。
事故の事実認識が異なるケースでは、保険会社が提示する過失割合が必ずしも正しいとは限りません。適正な過失割合を主張するためには、客観的な証拠を集める必要があります。
たとえば、あらかじめ車につけているドライブレコーダーや、駐車場の防犯カメラの映像、事故現場にいた人の証言などです。しかし、事故の当事者がひとりで十分な証拠集めをするのはなかなか難しいでしょう。
このようなトラブルの際、弁護士であれば必要な証拠集めをしっかり行ってくれます。
過失割合に納得がいかないというときは、弁護士に相談するようにしましょう。
まとめ
駐車場内は、駐車スペースに出入りするための切り返しやバックでの進行など、比較的予測しづらい不規則な動きが多いのが特徴です。その結果、交通事故が起こりやすく、突発的なアクシデントに慌ててしまい冷静な判断を欠くことも起こりやすくなります。
示談交渉では、保険会社から提示される過失割合をそのまま受け入れてしまう方が多くいらっしゃいます。しかし、想像よりも自身の過失割合が高い、相手の主張する事実に誤認があるなど、納得がいかないと感じる方もいらっしゃるでしょう。
そんなときは、示談書にサインしてはいけません。適正な過失割合で損害賠償を受けるには、示談交渉は弁護士に任せることをおすすめします。
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