2020.4.6 更新

交通事故で後遺障害が・・・後遺障害に対する慰謝料の相場はどれくらい?

交通事故で治療を受けていますが後遺症が残りそうです。後遺症に対する慰謝料は請求できるのでしょうか?
交通事故の被害者に後遺症が残った場合、後遺障害等級認定を受けることでその等級に応じた慰謝料を請求できます。

 

後遺症に対する慰謝料を請求するためには、「後遺障害等級認定」を受ける必要があります

認定を受けることで、治療費・通院費用だけでなく、精神的な苦痛に対する慰謝料も請求できます。さらに、障害を負っていなければ得られたはずの利益(逸失利益)も補償されます。

ただし認定を受けるための手続きは複雑で、場合によっては不利な認定を受ける場合もあります。リスクを避けるには専門的な知識を持った弁護士に依頼しましょう。

この記事では、後遺障害の慰謝料の計算方法や納得できる慰謝料を請求するためのポイントなどを紹介します。詳しく見ていきましょう。

後遺障害慰謝料とは?

「後遺障害」とは、治療後にも残ってしまう「後遺症」のうち、交通事故によるものと医学的に証明され、労働能力の低下や喪失が認められるものを指します。

後遺障害と認められた場合には、加害者に対して後遺障害慰謝料を請求できます。

請求できる金額は以下の2つの要素によって決まります。

  • 「自賠責保険」「任意保険」「弁護士(裁判所)」のいずれかの基準
  • 後遺障害の等級

慰謝料の請求を行うためには、後遺障害の申請をして等級の認定を受ける必要があります。また認定については、症状の程度によって第1級~第14級までの等級が定められています。

ただし申請には証拠となる医師の診断書などの提出が必要です。提出書類に不備があると、実際の症状よりも低い等級にされたり、最悪の場合認定が得られないケースもあります。

しっかりした知識を身に付けたうえで申請しましょう。

慰謝料を決定する3つの基準

後遺障害に限らず交通事故の慰謝料を計算する基準には「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準」の3つがあります。

慰謝料を計算するための3つの基準
自賠責保険基準 法令で定められた最低限の補償
任意保険基準 自動車保険会社ごとに決まっている
弁護士基準 判例に基づいており、弁護士が用いる

どの基準で算出するかによって慰謝料の金額は大きく変わります。それぞれの基準について解説します。

自賠責保険基準

自賠責保険基準は、法律によって決められた最低限の補償で3つの基準の中では最も低い金額となっています。

ドライバーに加入が義務付けられている自賠責保険に基づいて支払われるもので、交通事故を起こした加害者が任意保険に加入していない場合はこの基準に沿って補償金が算出されます。

自賠責保険基準に基づく後遺障害慰謝料は、最大で4,000万円までと上限が決まっています。

任意保険基準

任意保険基準は、加害者が任意の自動車保険に加入している場合に適用されるもので、保険会社によって設定されている金額は異なります。

基本的には自賠責保険基準でカバーできない部分を補うといった捉え方です。

弁護士基準

弁護士基準は、過去の裁判での判例をもとにしたもので「裁判基準」とも呼ばれます。3つの基準の中では最も高額となり、自賠責保険基準と比較すると2倍程度の差がありますが、この基準で慰謝料を得るためには弁護士への相談が必要になります。

後遺障害慰謝料の金額は障害の「等級」で決まる

後遺障害慰謝料の金額は、後遺障害の申請によって認定される「等級」に基づき計算されます。

交通事故の被害では、歩行が困難になったり視力を失ってしまったりとさまざまな後遺症が発生します。

後遺障害の等級は、こうした後遺症の症状に応じて10種類の部位ごとに16等級142項目に細かく分類されています。

同じような症状であってもどの等級に認定されるかで請求額も違ってくるため、等級の種類や等級ごとの慰謝料の目安などを把握しておくことが大切です。

後遺障害の「等級」とは?

交通事故において発生する後遺症の種類や程度は被害者ごとに異なります。

そのため、医師の診断書などをもとにしてどの等級に当てはまるのかを審査されます。

後遺障害と認められる条件として以下のことが医学的に証明される必要があります。

  • 交通事故との因果関係がある
  • 労働能力の低下や喪失が起こっている
  • 将来的に回復不能な障害である

また、後遺障害等級の区分に当てはまらない後遺症もあります。

あくまで目安ですので、正確な診断や認定方法については医師や弁護士に相談してください。

後遺障害の等級認定を受けるには

後遺障害等級認定の流れ

1.症状固定まで治療を続ける

等級認定を受けるためには、まずは「症状固定」まで治療を行う必要があります。

症状固定とは、これ以上治療を続けてもケガの回復・改善が期待できない状態のことをいいます。

2.後遺障害診断書の作成

症状固定と診断され、後遺症が残った場合には、医師に後遺障害診断書を書いてもらいます。

注意点は、むちうちや骨折、捻挫(ねんざ)の場合は、接骨院ではなく整形外科で診断してもらうことです。なぜなら、整骨院や接骨院などで行われるのは医療行為ではなく施術であり、慰謝料を含めた損害賠償請求ができないからです。

3.後遺障害認定の申請

次に以下のいずれかの手続きを行います。

  • 自賠責保険に直接請求を行う「被害者請求
  • 任意保険会社が行う「事前認定

被害者請求では、被害者自らが整える手間は発生します。
とはいえ、適正な認定が行われるように自ら立証することができますし、弁護士に依頼することも可能です。

一方事前認定は、加害者側の任意保険会社が手続きを代行してくれるため、被害者は自ら書類を準備する必要がありません。

ただし、適正な等級が認定されるようなアドバイスや書類の不備などの指摘などはなく、結果として適正な等級認定がなされない可能性があります。

そもそも「相手方の保険会社を介しての等級認定は信用できない」という方もいるかもしれません。等級の認定は慰謝料額にも大きく関わりますので、被害者自身が納得できるよう手続きを進めていくことが大切です。

手続き方法 メリット デメリット
被害者請求 手続きの透明性が高く、等級認定に納得しやすい 手間がかかる
事前認定 手間がかからない 書類の不備などがあると、適正な等級認定がなされない場合がある

4.後遺障害等級認定と異議申し立て

被害者請求・事前認定のどちらの場合も、損害保険料率算出機構(自賠責損害調査事務所)が等級認定を行います。

認定結果に対して納得できないときには、異議申し立てを行うことも可能です。

後遺障害の等級ごとの慰謝料目安

後遺障害の等級が認定されると、「自賠責保険基準」「任意保険基準」「弁護士基準」のいずれかの基準に沿って、慰謝料の算出が行われます。

弁護士基準は過去の判例に基づいた賠償額が目安となっており、自賠責保険と比較すると大きな差があります

等級ごとの相場比較
等級 自賠責保険基準 任意保険基準 弁護士基準(裁判基準)
第14級 32万円 40万円 90~120万円
第13級 57万円 60万円 160~190万円
第12級 94万円 100万円 250~300万円
第11級 136万円 150万円 360~430万円
第10級 190万円 200万円 480~570万円
第9級 249万円 300万円 600~700万円
第8級 331万円 400万円 750~870万円
第7級 419万円 500万円 900~1,100万円
第6級 512万円 600万円 1,100~1,300万円
第5級 618万円 750万円 1,300~1,500万円
第4級 737万円 900万円 1,500~1,800万円
第3級 861万円 1,100万円 1,800~2,200万円
第2級 998万円 1,300万円 2,300~2,700万円
第1級 1,150万円 1,600万円 2,700~3,100万円

※2020年度版赤本より引用

介護を要する後遺障害
等級 自賠責保険基準 弁護士基準(裁判基準)
第1級 1,650万円 2,800万円
第2級 1,203万円 2,800万円

※2020年度版赤本より引用
※慰謝料額は事故状況や加害者の対応によって増減します。目安としてお考えください。

このように任意保険基準においては、各保険会社が独自に定めているために支払水準に違いがあるものの、自賠責保険にある程度上乗せした程度の支払額となります。

しかし、弁護士基準はおおむね自賠責保険基準の2倍程度であり、等級が高くなるほど金額差が大きくなります。後遺障害第1級においては1,500万以上もの差が出ています。

後遺障害が残った際の「逸失利益」の補償とは

後遺障害が残ったときの賠償には、後遺障害慰謝料だけでなく「逸失利益」の補償もあります。

ここからは逸失利益の定義や条件、具体的な計算方法について解説していきます。

逸失利益とは?

逸失利益とは、交通事故にあわなければ被害者が将来的に得られたはずの経済的な利益を指します。

後遺障害が残ると、日常生活に支障をきたすばかりではなく仕事にも少なからず影響が出ます。ですので障害前とは同じ仕事を続けられず、給与など収入が減少することも考えられます。

このように被害者が後遺障害の影響で得られなかった利益を、逸失利益として請求することができます。

慰謝料の請求と合わせて逸失利益の補償も得られる可能性があるので、賠償額を考える際には念頭においておきましょう。

後遺障害による逸失利益を得られる場合

後遺障害による逸失利益を請求するためには、後遺障害の等級認定を受けているのが前提となります。

症状固定する以前に通院などで休業した場合の経済的損失は、別途に「休業損害」として補償を受けることができます。

逸失利益の計算方法

逸失利益の計算は以下の計算式に当てはめて行います。

基礎収入×労働能力喪失率×中間利息控除率(ライプニッツ係数)=後遺障害逸失利益

基礎収入は給与所得者であれば、原則として交通事故に遭う前の収入(賞与含む年収)がベースとなり、事業所得を得ている人であれば申告所得が目安となります。

・専業主婦・主夫(家事従事者)は?
女性の平均賃金をベースに算出されます。

・兼業主婦(パート収入有)は?
パートでの収入額と、女性の平均賃金を比べて高い方の金額で考えます。

・子どもは?
学生や幼児の場合は、男女別全年齢平均賃金の金額を基礎収入額とすることが一般的です。

労働能力喪失率は後遺障害の影響で失われた労働能力を示す割合であり、等級によって以下のように決められています。

第1級~第3級 第4級 第5級 第6級 第7級 第8級
100% 92% 79% 67% 56% 45%
第9級 第10級 第11級 第12級 第13級 第14級
35% 27% 20% 14% 9% 5%

中間利息控除率(ライプニッツ係数)とは、被害者が受け取る賠償金は将来的に得るはずだった利益を早めに手に入れていると見なし、一定の割合で控除するものです。

後遺障害慰謝料を弁護士に相談するという選択肢も

自賠責基準や任意保険基準での慰謝料金額では納得がいかない方は、弁護士に相談するという選択肢もあります。

弁護士に相談することで、慰謝料と逸失利益の補償を合わせて後遺障害に対する賠償を納得できる金額にできる可能性もあります。

弁護士に依頼をする前にまずは相談できる内容や注意点について押さえておきましょう。

後遺障害が残った場合に弁護士に依頼できる内容は?

交通事故で後遺障害が残ってしまったときに、慰謝料など示談金の請求にまつわる手続きを自分や家族だけで行うことは大変です。

弁護士に依頼できる主な内容としては、示談交渉の代行や等級認定に対する異議申し立て手続きなどがあげられます。

また、どのような項目で慰謝料の請求が可能なのかを相談に乗ってもらえるため、スムーズに手続きを進められるでしょう。

弁護士に依頼するメリット・デメリットは?

弁護士に依頼を行うメリットとしては、まず損害賠償に関する項目を余すところなく請求できる点があげられます。

慰謝料や治療費だけでなく、交通費・通信費・付添看護費・器具等購入費・物損費用など、交通事故が原因で発生してしまった費用は損害賠償請求が行えるのです。

他にも休業損害や逸失利益など、依頼者が気づかなかった補償についても教えてもらえます。

また、保険会社との示談交渉の場面では何度も連絡がくるためストレスを感じてしまうこともめずらしくありません。

弁護士に依頼をすれば、保険会社とのやりとりも代行してもらえます

交通事故案件に注力している弁護士事務所であれば、さまざまなケースで実績を積んでいるため、それだけ後遺障害に対する知見も深くなります。

医学的な分野にも知識を持っている弁護士であれば、後遺障害の等級認定も納得できる結果を導き出せるでしょう。

弁護士に依頼する場合には費用面が気になってしまう方もいるでしょうが、弁護士に対する報酬は示談金の中から差し引くことになるため、依頼者が直接支払わずに済みます。

依頼をすることで妥当な額の慰謝料を受け取れるため、金銭面で悩むことはほぼありません。

デメリットとしては、弁護士に初めて依頼をするときに面倒に感じてしまったり、敷居が高いと思ってしまったりする点があげられます。

ただ、自分自身で手続きを行おうとすれば時間や手間もかかってしまうので、早い段階で弁護士に依頼をしたほうがスムーズな損害賠償請求につなげられるでしょう。

弁護士に依頼する際の注意点

弁護士への依頼を検討する際には、症状固定後ではなく、治療段階で早めに相談したほうが良いといえます。

交通事故の発生から時間が経つほど弁護士から受けられるアドバイスの範囲も狭まってしまうので、後遺障害の等級認定を申請する可能性を踏まえて治療段階からの相談を意識しておきましょう。

また、示談が成立した後は弁護士への依頼は行えない点や、交通事故の損害賠償請求は時効が3年となっている点にも注意が必要です。

まとめ

交通事故が原因で後遺症が残ってしまった場合には、後遺障害等級認定を受けたうえで損害賠償請求が行えます。

慰謝料や治療費だけでなく休業損害や逸失利益についても請求できる可能性があるため、後遺障害にまつわる基本的な知識を身につけておくことが大切です。

また、慰謝料算出の3つの基準のなかで最も高額な弁護士基準で算出するために、弁護士に依頼することも検討すべきでしょう。

示談交渉や各種手続きを自力で行うことは負担でもあるので、なるべく早めに相談をして後遺障害に関する不安や悩みを解消してみましょう。

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