2020.6.15 更新

被害者請求だと金額が上がるってホント?損害賠償請求に必要な手続き

自賠責保険の「被害者請求」とは?手続き方法は?

交通事故の示談交渉では、加害者や保険会社に誠実な対応をしてもらえずに、納得できない場面もあります。

そうしたときには、自賠責保険金の請求を被害者自らが行う被害者請求という仕組みを利用してみるのも1つの方法です。

自分で手続きを行うため、示された賠償金も納得できるものになる可能性が高くなります。

ただし被害者請求を行うためには、被害者請求での手続きの方法や必要書類などを把握しておくことが大切です。

また、どのような種類の損害賠償ができるのかも押さえておきましょう。

被害者請求に必要となる手続きについて、詳しく解説していきます。

被害者請求とは自賠責保険に自ら請求する方法

被害者請求の基本的なポイント

交通事故による治療費や慰謝料などの損害賠償は、加害者の自賠責保険と任意保険から支払われます。

このとき自賠責保険に被害者自身が直接請求することを被害者請求いいます。

一方で、加害者(または加害者が加入している任意保険)が保険金の請求を行って被害者に支払うのが加害者請求(事前請求)です。

被害者請求と加害者請求

加害者に財産がなかったり、支払う気がなかったりする場合でも、被害者請求をすることで自賠責保険から最低限の補償が受けられます。

被害者請求では、加害者側の介入を受けないのできちんと主張ができ、たとえ主張が認められない場合であってもその理由を知ることができます。

また、被害者請求は法律によって認められた権利であることも押さえておきましょう。

自動車損害賠償保障法第16条
第3条の規定による保有者の損害賠償の責任が発生したときは、被害者は、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金額の限度において、損害賠償額の支払をなすべきことを請求することができる。

被害者請求を行うための条件としては、人身事故である必要があり、証明書類を提出しなければなりません。

事故直後に自覚症状がないときであっても、後から症状が出てしまうこともあるので、早めに病院で診察を受けましょう。

物損事故として取り扱われてしまうと、慰謝料の請求などが行えなくなってしまうため注意が必要です。

被害者請求と加害者請求のメリット・デメリット

被害者請求と加害者請求のメリット・デメリットをまとめると、以下のような表になります。

メリット デメリット
被害者請求 ・自ら手続きを行うことで、納得できる補償が受けやすくなる。
・加害者に財産や誠意がないときでも、自賠責保険から最低限の補償が受けられる。
・必要書類を集めて、医師や損害保険料算出機構とやりとりをしなければならないため、手続きに手間がかかる
・人身事故でなければ請求ができない。
加害者請求 ・被害者自身が手続きをする必要がないので、事務的な負担が少ない。 ・加害者に手続きを任せてしまうため、納得のいく補償が受けられない場合もある。
手続きが不透明なため、被害者の主張が通らなかったときの理由が分からない。

特に被害者請求を行ったほうが良いケースは、
・自らの過失割合がゼロで高額な損害賠償請求が見込める
・むちうちなど画像診断など症状の裏付けが難しい症状である
・加害者側に誠意がなくて示談交渉が進まない
・加害者の任意保険会社が治療の打ち切りや不利な条件を提案した

ときがあげられます。

そして、被害者請求においては被害者自らが手続きを行うので、後遺障害認定も有利に進めやすくなります。

ただし自賠責保険の後遺障害認定は、提出された書類のみで審査が行われるため、書類の記載内容によって認定結果が変わってきます。

医師の診断書や検査データなど、交通事故と症状の因果関係を示す書類をきちんとそろえることが重要です。

後遺障害認定においても、加害者側に手続きを任せる事前認定という仕組みがあるものの、不利な結果になってしまう場合もあります。

被害者請求の手続きは面倒な部分もありますが、被害者自身が納得できる補償を受けられやすい点を押さえておきましょう。

被害者請求の手続き方法と仮渡金

加害者側の自賠責保険に直接請求を行う

被害者請求の具体的な手続き方法としては、加害者側の自賠責保険に対して直接請求を行います。

加害者がどの保険会社に入っているのかを調べるには、交通事故証明書をチェックしましょう。

通常の場合では、事故が発生したときに現場の警察官が車検証と一緒に、自賠責保険の保険証を確認しているので分かるはずです。

もしも、何らかの理由で加害者の自賠責保険会社が分からないときには、弁護士を通じて照会することも可能です。

そして、被害者請求を行うときに必要となる書類は以下の通りです。

書類に漏れや不備があるときちんと保険金を請求できない恐れもあるので、提出前によくチェックしておきましょう。

書類の種類 書類の取得先 ポイント
自賠責保険支払請求書 保険会社 保険会社ごとに書式が異なる。
交通事故証明書 自動車安全運転センター 各都道府県の警察本部や運転免許センターに設置されている。
事故発生状況報告書 事故当事者 事故当事者が作成したもの。
医師の診断書・診療報酬明細書・レントゲン写真など 病院 ケガの治療を行った病院で発行してもらう。
死体検案書・死亡診断書 病院 被害者が死亡したときに病院で発行してもらう。
通院交通費明細書 各種交通機関 通院のために、公共交通機関やタクシーなどを使った場合。
印鑑登録書・戸籍謄本・除籍謄本 市区町村の役場 被害者が死亡した場合に必要。
賠償済みの領収書 事故当事者 交通事故によって発生した損害で、加害者側がすでに実費で支払ったもの。
休業損害証明書 勤務先など 源泉徴収票や課税証明書など。
後遺障害診断書 病院 後遺障害の損害賠償請求を行うときに、医師に作成してもらう。

損害賠償請求の時効期限は3年

注意点として被害者請求は民法724条によって、時効が3年と定められているので注意しておきましょう。
※ただし、2020年4月1日以降は損害賠償請求権のうち、人身事故によるものは時効が5年に延長されています。

時効の起算日は

・傷害の場合には事故発生日
・後遺障害の場合には症状固定日
・死亡の場合には死亡日

から数えます。

もしも時効が迫ってきたときには、時効経過前に自賠責保険会社を通じて時効中断承認書を受け取っておけば、時効が中断されます。

交通事故における時効の期間や時効中断については、以下の記事で詳しく解説しています。
交通事故の慰謝料請求には時効がある|期限を中断させる方法まとめ

どうしても困ったときには仮渡金制度が利用できる

交通事故の被害の補償となる損害賠償金は、基本的には示談交渉がまとまるまでは受け取れません。

そのため、相手方の保険会社から治療費の支払いを打ち切られてしまったときなどには、お金に困ってしまう場合もあるでしょう。

自賠責保険では交通事故の被害者に対して、最低限度の補償を行うことを目的としているので、仮渡金制度というものが設けられています。

仮渡金制度を利用すれば、損害賠償額が確定して実際に支払いを受けるまでの期間に、当面の治療費や生活費がまかなえます。

自賠責保険会社に対して、将来的に損害賠償金として受け取れるお金の支払いを受けられる仕組みとなっています。

仮渡金の金額については

・死亡の場合は290万円
・傷害の場合はケガの程度に応じて5万円・20万円・40万円
のいずれかです。

どうしても困ったときには無理をせずに、仮渡金制度を利用してみましょう。

被害者が請求できる保険金額

自賠責保険において、被害者が請求できる保険金額には上限が設定されています。

・死亡の場合は3,000万円
・傷害の場合は120万円

後遺障害の場合は等級に応じて下記の表の通りとなっています。

■後遺障害等級別の保険金上限

等級 保険金額
第一級 3,000万円
第二級 2,590万円
第三級 2,219万円
第四級 1,889万円
第五級 1,574万円
第六級 1,296万円
第七級 1,051万円
第八級 819万円
第九級 616万円
第十級 461万円
第十一級 331万円
第十二級 224万円
第十三級 139万円
第十四級 75万円

■介護を要する後遺障害

等級 保険金額
第一級 4,000万円
第二級 3,000万円
後遺障害認定等級については以下の記事で詳しく解説しています。
交通事故の後遺障害が正当に認定されるポイントと1〜14級の慰謝料

そのため、自賠責保険でまかなえない損害賠償金については、加害者が加入する任意保険会社に請求することになります。

請求できる項目としては慰謝料の他に、治療費・付添看護料・交通費・休業損害・逸失利益(将来得られるはずだった収入)などです。

被害者請求においては本人が請求することが原則ですが、未成年であったり死亡してしまったりしている場合には、本人に代わって親族などの法定代理人が行います。

請求できる補償内容を把握したうえで、納得できる金額の請求を行ってみましょう。

被害者請求は難しい!?1人で悩まずに弁護士に相談しよう!

被害者請求は加害者に財産がなかったり、不誠実な対応をとられてしまったりした場合でも、納得できる補償を受けられる有効な手段です。

ただ、加害者請求と比べて、必要書類を準備するなど手続きに手間がかかってしまう面もあります。

ケガの治療や生活の立て直しに忙しい時期に、1人で手続きを行うのは大変でもあるので、交通事故事案に詳しい弁護士に相談するのも1つの方法です。

被害者請求の手続きを代行できるのは弁護士だけであり、面倒な手続きを任せられます。

適切なアドバイスを受けられるので提出書類に不備がなくなり、審査に通りやすくなるメリットがあります。

また、 慰謝料なども弁護士基準で請求できるので、受け取れる損害賠償金は多くなる可能性もあるはずです。

加入している任意保険会社に弁護士費用特約があれば、費用の負担を気にせずに弁護士に依頼できるので、1人で悩んでしまう前に相談をしてみましょう。

まとめ

交通事故における示談交渉では、加害者側の姿勢によっては示談がまとまるまで、時間がかかってしまうケースもあります。

そうしたときには、納得できる補償を受けるためにも、被害者請求を行ってみましょう。

加害者が加入する自賠責保険会社に直接請求ができるので、法律で定められた補償を受けられます。

ただ、被害者請求をするためには準備しなければならない書類も多いので、1人で取り組むのは大変でもあります。

交通事故事案に詳しい弁護士に早めに相談をして、手続きを代行してもらうことも検討してみてください。

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